(Photo by Lisa Maree Williams/Getty Images)

チベットの光 (35) 師父の怒号

ウェンシーは小さい頃から母親の話を聞くと、それがどんなものであれよく従ってきた。今では師母が実の母親のようになっていたので、それを毛頭疑う余地もなく、小さい頃から嘘をいったためしもなく、このように師父をだますことなど思いもつかず、しかもその結果についても考えていなかった。師母はいつもよくしてくれていたので、師母が間違いをおかすとは到底思ってもみなかったのである。

 こうして師母が教えてくれた通りに、彼は荷物をまとめ、いくばくかのツァンバ(チベット民族の主食)を手にすると、師父の見えるところで涙を拭い、去る様子を見せた。師母はそれを引き留めるふりをして、「怪力君、いかないで!今度は師父に法を伝えるように言うから、だから落ち込んだりしないで、いく必要などないから」と言った。しばらくして、それが師父の目に留まり、師父が師母に叫んだ。

 「ダメマ(師母の名)!おまえたち二人はそこで何をしとるんじゃ?」

▶ 続きを読む
関連記事
古代中国の周代で行われた冠礼は、成人を年齢ではなく徳と責任の成熟で認める儀礼だった。日本の元服にも継承された「成人という身分」の原点を探る。
同じ家族でも異なる自閉症の姿――鍵は2つの遺伝的要因にあった。最新研究が示す遺伝の仕組みと、重度自閉症に希望をもたらす治療の可能性を丁寧に解説する注目記事。
いま、「成人」という言葉は、主に「年齢」を表すものとして使われています。「何歳からが大人か」という数字の話はよ […]
睡眠は「良い・悪い」だけでは測れない。研究が明かす5つの睡眠パターンと脳への影響を解説。自分の眠りの癖を知り、心と体を整えるヒントが見えてくる注目記事。
もう2026年?もう1週間たったのに、年が始まった気がしない。同じ感覚の人、きっと多い。無理に切り替えなくていい。焦らなくていい年明けの話。