チベットの光 (52) 廃墟の実家

ミラレパは実家の近くまでやってくると、村の傍を流れる渓流の上流にある、小高い山の斜面に立った。そこから下を望むと、彼の実家が見える。山の斜面では、一群の牧童たちが羊を放していた。

 「ぼっちゃんや、あそこの家に住んでいた人たちを誰か知っている?」ミラレパは自分の実家を指さして牧童たちに訊ねた。

 「ああ、あの大きな家かい。柱が四つあって、梁が八つあるやつだね。もう久しく人は住んでいないよ。今では幽霊しかいないさ」。比較的年長の牧童が答えた。

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