弟子規/大紀元

弟子規 (18)

凡(Fán) 出(chū)言(yán),信(xìn) 為(wéi)先(xiān);

詐(Zhà) 與(yǔ) 妄(wàng),奚(Xī) 可(kě) 焉(yān)?

說(Shuō)話(huà) 多(duō),不(bù)如(rú) 少(shǎo);

惟(Wéi)其(qí) 是(shì),勿(wù) 佞(nìng) 巧(qiǎo)。

刻(Kè)薄(bó) 話(huà),穢(huì)污(wū) 詞(cí);

市(Shì)井(jǐng) 氣(qì),切(qiè) 戒(jiè) 之(zhī)!

【注釈】

(1)出言:口から出る言葉、話。

(2)信:信用。

(3)詐:騙し。欺騙。

(4)妄:うそや出鱈目を言うこと。

(5)奚:どうして。

(6)焉:疑問文の文末助詞。

(7)惟:希望する。

(8)佞巧:巧言や媚びにより人にとりいること。

(9)刻薄:冷酷でとげとげしいこと。

(10)穢:きたない。清浄でない。

(11)市井氣:世俗的な語気。

(12)戒:改正する。

【日文参考】

 凡そ話をするときは信用を守ることが肝要であり、嘘や出鱈目を言っていたのでは、どうしていいことがあろうか。多く話し過ぎるより、少なく話す方がよっぽどましであり、実際本当の事を話し、うわべだけのとりつくろいや巧言で人にとりいろうとしてはならない。とげとげしく冷酷な話、幼稚で世俗的な語気も現に改めるべきである。

【參考故事】

李礼は、周代呉国の若君である。あるとき、彼は徐国を経由して魯国に使わされることとなった。そうしてその道すがら彼は徐君に拝謁することとなった。李礼は非常に教育のいきとどいた君子であったため。両人は歓談していたが、徐君の目に李礼が腰に佩いている宝剣が目に留まった。

徐君は心中で、その剣が気魄をもって造られているだけでなく、宝石もちりばめられていて、華麗でありながら荘重さを失くしていないことに魅入られた。李礼のようないきとどいた君子だからこそ、このような剣が授けられたのにちがいない。徐君はなんとかしてこの剣を佩いてみたいものだと思ったが、跋が悪くて言い出せなく、ただ剣をじっとみるに忍びなかった。李礼は、はたと徐君の心中を察し、魯国での使命が終わったら、また徐国に戻ってきて、この剣をさしあげましょうと約束した。

後に、李礼が魯国から徐国に戻ってきたとき、すでに徐君はこの世を去っていた。李礼は徐君の墓の傍らで悲しみに暮れ、自らの剣を樹の上に掛けて心中で言った。「あなたはもうこの世を去りましたが、私の心の中ではまだあなたとの約束は生きています。今日、この剣をあなたに贈り、あなたとの別れとしましょう」。李礼は、墓標に深々と礼をすると、身を翻してその場を立ち去った。

李礼のこの行動は、その従者たちに非常に疑問に思えた。「徐君はもうこの世にはいませんのに、どうして剣をここに掛けたのですか。使い道もないでしょうに」。李礼は答えた、「彼はもうこの世にはいないものの、かつて私は魯国から戻ったら必ず剣を贈ると彼と約束したのだ。一個の君子として、信義と道義は重んじなくてはならない。どうして彼が世を去ったからと言って、それに違背できようか」

李礼のこの行動は、後世をうならせたという。

(竜崎)

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