チベットの光 (58) 精進苦修の誓い
去りゆく叔母の後姿を見るミラレパの心の中には、一種強烈な悲哀が広がっていた。彼の心には、さまざまなものが交錯していた。ジェサイが彼にした話、母親と妹の悲惨な命運、叔父の彼に対する怨恨、叔母の悪行、これらのことに思い至るとき、すでに数年が経過しているというのに、叔父は自分のしたことを棚上げにして、自分の受けた苦痛をまだ根に持っている。叔父の怨恨は、すでに叔父の心と人生全体を浸蝕していた。彼が生きているのはミラレパに復讐するためであり、彼はその怨恨の苦しみから抜け出せずにいた。叔母もまた相も変わらず貪欲で、その心根は悪いものであったのだ。
ミラレパは彼らを見るにつけ、世間の人は実に憐れだと思った。わずかばかりの物質的利益のために嘘をついて人を騙し、心中の喜怒哀楽を掴んで放さず、その実これにしがみついて、がんじがらめになってその檻から出られないのだ。
「ああ、世間のことは、大体がこのようなものだ。人は世に生きていて、何が面白いというのだろうか。まるで子供の遊びではないか」。ミラレパは嘆いた。心の中では世間に対する執着はなかった。彼は、自らの地所を放棄すると決めた後、まるで心の中の石の塊を取り出したようで、すぐに自由な気持ちとなり、心にはなにも心配事もなく、微笑みさえ浮かんできて、すぐにフマパイの洞窟に行って、そこで修行することにした。
関連記事
自分を許せない背景には、過去へのとらわれや強すぎる責任感が関係することがあります。責任を受け止めながら心を軽くする視点を紹介します。
突然の動悸や脈の乱れは、一時的なものだけでなく危険な不整脈の可能性もあります。受診の目安や発作時の対処法を医師が解説します。
春に悪化しやすい喘息、その原因は「炎症」にあった?最新研究が示す治療の変化と、発作を防ぐための生活の工夫をわかりやすく解説します。
鳥を見たり鳴き声に耳を澄ませたりすることは、不安や孤独感を和らげ、心を今に戻す助けになる可能性があります。気軽に始められる自然の癒やしです。
薬だけに頼らず、運動と生活習慣で進行にブレーキをかける——パーキンソン病と向き合う新しいアプローチをわかりやすく解説します。