弟子規/大紀元

弟子規 (30)

bú lì xíng ,dàn xué wén ;zhǎng fú huá ,chéng hé rén 。

不力行,但學文;長浮華,成何人。

dàn lì xíng ,bù xué wén ;rèn jǐ jiàn ,mèi lǐ zhēn 。

但力行,不學文;任己見,昧理真。

【注釈】

(1)力行:自ら実践する。努力する。

(2)但:ただ。

(3)學文:本の上から知識を学習する。

(4)長:年を重ねる。

(5)浮華:實際的、実践的でない。

(6)任:こだわる、固執する。

(7)己見:自分の考え。

(8)昧:あいまいとしてしっかり理解しない。

(9)理:物事の規律、道理。

(10)真:純正の、虛でない。

【日文参考】

およそわが身をもって実行しないものは、本の上だけで知識を得て応用を知らないものであり、実践的ではなく、将来どのような人になるか皆目見当もつかない。しかし、盲目的に物事をやってしまって、本の上から知識と経験を学ばないものは、頑固に自分勝手を通しているだけであり、かえって本当の道理を理解できないものである。

【参考故事】

机上の軍議

西暦紀元前262年、秦国は韓国(現河南省沁陽市付近)に進攻し、その北方領土である上党郡が分断され孤立した。郡の韓軍は秦に投降することを潔よしとせず、地図を携えて趙国に郡を献上した。

二年が過ぎ、秦は王齕を派遣して郡を奪還する準備を始めた。趙王はその消息を聞くと、すぐに廉頗とともに二十万の大軍を派遣して郡の救援に向かわせたが、長平(現山西省高平市付近)に到着すると、すでに郡は秦軍によって攻め陥落させられていた。

王齕は引き続き長平に進攻しようと試みたが、二度三度と趙軍に挑戦してみても、廉頗は老獪に陣を閉ざして正面から打って出ようとせず、長期戦の様相を呈してきた。両軍睨み合いのまま、持ちこたえられなくなってきて、王齕は人を遣わして状況を報告し、秦の昭襄王からの勅命を待った。秦王は側近の範雎を召して意見を求めた。「趙軍を打ち破るには、まず敵軍の司令官である老獪な廉頗を交替させなくてはなりません」。そうして、秦は趙国に間者を放ち、流言を流させた。

数日すると、趙王の左右で議論が紛糾し始めた。「秦が最も恐れているのは、若い趙括が兵を率いて戦うことだ。老いた廉頗ではもう役に立たない」。趙括は、趙国の名将である趙奢の息子で、幼少時から兵法を学び、軍議を好んで、頭角を現してから自らを天下無双とし、父親も目を掛けていた。

趙王は流言を聴くと、即刻に趙括を探し出し、秦軍を撃退できるか問いただした。趙括は答えた。「秦が白起を派遣するなら考えなくてはいけませんが、今のような王齕なら、廉頗の相手にしか過ぎません。もし私が司令官として交替したなら、即刻に打ち破ってみせましょう」。趙王はこれを聴くと嬉しくなり、即刻に趙括を大将に任じ、廉頗と司令官を交替させた。

側近の藺相如がこれを聴くと、王に諫言した。「趙括は父親の兵法書を読んだだけで、臨機応変な陣取りはまだできません。まだ大将の器ではありません」。しかし、趙王はこれを聞き入れなかった。趙括の母親もまた王に奏上文を献じ、息子を大将に任じないよう頼んだ。しかし王は、趙括に指揮を執らせることに固執した。

そして、趙括は意気揚々として四十万の大軍を率いて戦地に乗り込み、廉頗の元部隊を全部解体して命を下した。「もし秦軍が再び挑戦してきたら、打って出て迎撃せよ。もし敵が敗走し始めたら、追撃して一兵をも討ち漏らしてはならぬ」。

秦国はこの消息を聞くと、反間の計が成功したことを知り、秘密裏に白起を司令官として戦地に派遣した。白起は長平に到着すると、処々に伏兵を配置し、撃って出て故意に負け、陣を棄てて敗走し始めた。趙括はそれが作戦上の計略であるとも知らず、勝ちに乗じて追討命令を下知した。結果、秦軍の鶴翼の陣の中に誘い込まれ、伸びきった趙軍は伏兵によって分断された。趙括はここに到って、秦軍の計略を知り、本国からの救援を待つしかなくなったが、秦軍はすでに糧食運搬と救援の道路を兵によって封鎖していた。

趙軍は完全に孤立し、四十万の大軍は糧食なく、外からの援軍もなく、将兵たちの苦吟に喘ぐ声が天地に満ちた。趙括は活路を開こうと、兵を率いて囲みを突破しようとしたが、秦軍の矢に射すくめられて討ち死にした。趙軍は大将が戦死したのを聞くと、武器を捨てて投降した。ここに趙軍四十万は壊滅した。

(竜崎)

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