中国当局、文革55周年記念イベントを禁止 賛否両論に警戒か

1966年5月16​日、党中央政治局拡大会議は「中国共産党中央委員会通知」(五一六通知)を通過し、10年に及ぶ文化大革命が正式に始まった。55周年記念日にあたる16日、北京で文化大革命を支持する左派団体が記念イベントを予定していたが、市政府に禁止されたことがわかった。文化大革命をめぐる議論の高まりを回避する当局の狙いだとみられる。

景山紅歌会、毛沢東研究院、烏有之郷など北京市の9つの左派団体は、文化大革命55周年記念イベントを計画した。イベントの共同主催者である景山紅歌会の張軍氏は、香港ニュースサイト「巴士的報(Bastille Post)」の取材に対して、「イベントはキャンセルされた。今(イベントを)開催するのは都合が悪い」と話した。市当局から圧力を受けたかとの質問に対して、張氏ははっきりと返答しなかった。

また、中国版ツイッター、微博(ウェイボー)の「#文革ー歴史上の今日#」のコンテンツでは、閲覧回数が548.8万回、討論人数1984人に達した後、ネット検閲が始まった。現在、ウェイボーで検索すると、関連検索結果が見つからないとの表示が出ている。

中国当局は近年、国内で思想教育を強化している。小中高校だけでなく、保育園の生徒も中国共産党の歴史を学ばなければならない。この結果、一部の学校では、学生らが文化大革命の当時に流行っていた「忠字舞(毛沢東に絶対的な忠誠を誓うという意味を込めたダンス)」を踊っている。また、ネット上に投稿された動画では、バスの中のような公共の場で、「忠字舞」を踊る人も相次いでいる。

中国当局は今年4月、共産党成立100周年を記念するために「中国共産党簡史」2021年版を発行した。同書籍は、文化大革命という悲劇をもたらした毛沢東のために弁護し、今まで掲載されていた毛を批判する内容を削除した。

在米の中国民主化活動家、胡平氏は「中国当局が、新版の『共産党簡史』を通して、文化大革命を風化させたいという狙いがある。この10年は共産党にとって都合の悪い歴史だ。だから、新版は文化大革命を『辛くて苦しい探求だった』と表現した」と大紀元の取材に語った。

胡氏によると、国内の左派団体は新しい「共産党簡史」の発行を喜び、文化大革命の宣伝資料として利用していくという。

景山紅歌会の張軍氏は14日、香港メディア「衆新聞(CitizenNews)」に対して、中国当局は来年、文化大革命を再審議してこれまでの認識を是正する可能性が高いと述べた。

張氏は「党中央政治局常務委員7人(チャイナセブン)のうち、5人が上山下郷運動で農村に下放された。常務委員らは皆、毛沢東(の政策)の影響を受けて成長したと言ってもいい」と述べ、来年の党大会で1981年に通過した「若干の歴史問題に関する決議案」が撤廃されるとの見方を示した。同決議案は、文化大革命を完全に否定し、毛沢東を暗に批判した。

いっぽう、胡平氏は張軍氏の見方を否定した。「習近平氏は今、文化大革命という歴史を隠そうとしている。国民の記憶からこの歴史を消すことが習氏の目的で、文化大革命を擁護しているのではない。だから、左派団体の記念イベントを取り締まったのだろう」

「もちろん、習政権は文化大革命を非難する党内自由派の言動にも警戒している。自由派は、文化大革命について反省するよう呼びかけており、個人崇拝に反対し、政治改革を行うよう求めている。これは習近平氏が嫌うことだ」と胡氏は示した。

(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)

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