【医学古今】渾身の生薬

ー桑ー

糖尿病や高血圧、脂質異常症などに効く健康食品として、最近注目されている桑の葉。漢方医学では、桑の木はそのほとんどが生薬として使えます。桑の木は言わば「渾身の生薬」なのです。

桑の葉は桑葉(そうよう)という生薬として主に風邪の治療に使われます。特に、春の季節に流行る咳、発熱、咽喉痛、頭痛などを主症状とした風邪に、菊花、桔梗、杏仁、薄荷などの生薬と併せて用いられます。代表的な処方は、桑菊飲(そうぎくいん)です。

桑の細い枝は、桑枝(そうし)という生薬としてリウマチや関節炎による関節痛の治療によく使われ、特に上肢の関節痛に効果を発揮します。例えば、桑枝を濃く煎じた液に氷砂糖を加えて生成した桑枝膏(そうしこう)は、四肢の関節痛や痺れによく効きます。副作用はなく、非常に安全な薬です。桑枝は灸療の材料としても使われています。中国明代の医学書『医学入門』には、桑枝の灸を用いて慢性化した皮膚膿腫を治療する方法が記載されています。

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