腎臓機能を良好に保つために、重要なのは「黒い食物」を多く食べることです。(Shutterstock)

腎臓を守ることは命を守ること 漢方医が薦める「黒い食材」

中国伝統医学である漢方の言葉に「養命には、まず腎臓を養う。養生は、まず腎臓を整える」というのがあります。

漢方医学における腎臓の機能「人間の活力の貯蔵庫」

西洋医学でいう腎臓の主な機能は、言うまでもなく体内をめぐる血液から老廃物や毒素、あるいは余分な水分を除き、尿として体外へ排出する濾過機能です。これに対して、漢方でいう五臓六腑のなかの「腎」は、尿をつくる系統とは全く関係がないとされています。

その点については、西洋医学の知識から補足する必要があろうかと思いますが、漢方ではこの臓器つまり腎臓(腎)がもつ別の機能に着目し、その重要性を表現したのが冒頭の引用ということになります。

腎臓には「生命の源である先天の精気が集まり、さらに、食物から得た精気がここに加わる」と考えられており、言い換えれば「人間の元気のもとが集まる臓器」ということです。

台湾の漢方医師・沈紹功氏によると、「人間の気力や体の好不調は、その多くが腎臓の強さと関係がある」と言います。人は幼年から腎精(腎臓の精力)が次第に盛んになって行きます。歯が生え換わり、身長が伸び、成長する各段階で体が変化する生理現象も現れます。青年期になると、腎精はさらに盛んになります。中年期に入ると、腎精は一定の範囲で上下に変動するようになり、老年になると、腎精が衰退することで、体は老衰し、歯も緩み、髪は白くるのです。

黒米(紫米)にリュウガンを入れて炊いた粥は、精神をリラックスさせるとともに、腎臓の精気を充実させてくれます。(Shutterstock)

腎臓を強くするのは「黒い食べ物」

さて、そのように大切な腎臓ですが、これを守り、年齢相応の健康な状態を保っていくには、どんな点に留意したら良いのでしょうか。その第一は、やはり食事です。食べ物の内容を十分吟味することによって腎臓を保護し、全身の養生につなげていくのです。

では、腎臓を守り、腎臓の機能を高める効果のある食物とは、具体的にどんなものでしょうか。結論を先に申しますと、それは「黒い食材」です。つまり腎臓を強くするには、黒い食物を選んで、たくさん食べることが求められるのです。

中国医学の五行思想では「黒腎」と言います。つまり腎臓に相当する色は「黒」であり、多くの黒い食物が腎臓にもたらす良い効果は、漢方医学がもつ豊富な経験とともに、台湾では広く知られています。

ただ皆さんの日本では、漢方医学でいう「黒い食物が腎臓に良い」ということをお聞きになった方は多くないかも知れません。なかには「真っ黒なものは食欲がわかない」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、日本人がお好きな焼き海苔やワカメを思い出していただければ、さほど抵抗感は感じないのではないでしょうか。

「黒い食材」ということで、ここに挙げてお薦めできるものというと、例えば、黒米(紫米)、黒ゴマ、黒キクラゲ、黒い桑の実黒豆、等々です。

日本のスーパーでも比較的簡単に入手できる食材です。これらの材料を日常の調理にうまく生かして、まずは食事の面から腎臓を健やかに保ち、いつまでも若々しく、健康な体を保ってください。

桑の実は、腎臓の機能に対して優れた調節作用があります。(Shutterstock)

(文・沈紹功 翻訳編集・鳥飼聡)

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