リンゴ日報停刊危機のなか 創業者ジミー・ライ氏に報道自由賞を授与=CPJ
6月21日、ジャーナリスト保護委員会(CPJ)は中国共産党に批判的な香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)の創設者である黎智英(ジミー・ライ)氏と、親会社のネクスト・デジタルに、「2021年グウェン・イフィル報道の自由賞(2021 Gwen Ifill Press Freedom Award)」を授与すると発表した。ライ氏は現在服役中であるため、直接に賞を受け取ることができなかった。
CPJは米ニューヨークに本部を置く民間団体で、ジャーナリストの権利を守り、世界各国の言論弾圧を監視する目的で運営されている。毎年、報道の自由に持続的かつ優れた貢献をした人物に対して「グウェン・イフィル報道の自由賞」を授与する。
ライ氏について、CPJのキャサリン・キャロル(Kathleen Carroll)理事は「報道の自由を守る人であると同時に、報道の自由のために戦う人でもある」と称賛した。さらに、「グウェン・イフィル報道の自由賞をライ氏に授与することはCPJにとって光栄なことだ。直接本人が賞を受ける日を楽しみにしている」と付け加えた。CPJは今年11月18日、「2021年国際報道の自由賞(2021 International Press Freedom Awards)」でライ氏らを表彰する。
CPJはライ氏について、「中国共産党が香港の支配をますます強めていく中で、香港における報道の自由を維持するための有力なシンボルとなっている」と表現した。いっぽう、ライ氏は中国政府に対して率直な批判者であり、民主主義の擁護者であるため、保釈が拒否され、一生刑務所に入れられる可能性があると懸念を示した。
ライ氏は2つの抗議活動をめぐって未許可の集会に参加した罪で、今年4月、1年2カ月の実刑判決を受けた。それ以降、アップル・デイリーの言論に対する圧力がさらに強まっている。
6月17日、香港警察はアップル・デイリーの本社を家宅捜索し、幹部5人を国家安全維持法違反の容疑で逮捕した。同紙は当局によって一部の財産を凍結されたため、経営状況はますます悪化しつつある。21日、同社関係者は発行停止を検討するとメディアに明かした。当局による制裁が解除されなければ、25日から停刊する見通しだという。
アップル・デイリーが停刊の危機にさらされていることを受けて、米国務省のネッド・プライス報道官は「深い懸念」を示し、中国と香港当局に報道の自由の規制をやめるよう求めた。
香港記者協会(HKJA)は5月3日、香港で働く記者らが感じる「報道の自由度」が過去最低になったとの調査結果を発表した。国際ジャーナリストNGOの「国境なき記者団(RSF)」が発表した「報道の自由度ランキング 2020年」によれば、香港は80位であり、10年前の54位から大きく順位を落とした。
(蘇文悦)