中国南部・広東省の広州でPCR検査を受ける女性=2021年5月30日(STR/AFP via Getty Images)

「接種率全国一」中国広東省、変異株感染拡大

中国では、6月19日時点でワクチン累積接種量が10億回を超え、「集団免疫の達成に近づいている」と報じている。しかし、最も国内総生産(GDP)が高く、ワクチン接種率1位を誇る広東省では、感染拡大が深刻化している。

当局の集計データによると、5月21日に広州で最初の現地感染者が確認されて以来、6月22日現在、累計感染者数は2706人に達し、8人の死亡が確認された。また、広州ではインド型、深圳ではイギリス型の変異株が検出された。

中国疾病予防管理センターが発表したデータによると、6月21日時点で、国内には高リスク地域が1カ所、中リスク地域が12カ所あり、いずれも広東省にある。

6月6日に東莞、湛江などの6都市、7日に広州、佛山などの9都市、8日に恵州、汕尾、19日には深セン、珠海、東莞が感染地域に指定され、防疫措置がとられた。当局は、必要な人員以外の感染地域への出入りを厳しく禁止する一方で、住民全員を対象とするPCR検査を求めている。

6月18日、深センでは、新規感染者2人が確認され、いずれもインドのデルタ変異株だった。6月19日、住民全員へのPCR検査が実施された。ネットユーザーがアップロードした動画には、PCR検査のために数万人の住民が一晩中、市内のスタジアムで並んでいる様子が映し出されている。

また、深セン空港では18日、ターミナル内のすべての店舗を閉鎖し、大量のフライトをキャンセルした。交通規制のため、省内の各都市の入り口に検問所を設置し、感染地域へ車両の出入りを禁止している。

「接種率全国一」

一方、中国の国家衛生健康委員会(厚生労働省に相当)は20日、国内接種が10億回を超えたと発表した。これに対し、中国の国営CCTVは「中国が集団免疫の達成に近づいている」と報じた。

広東省衛生当局のトップ、段宇飛主任は、5月20日に行われた国務院報告会で、「広東省の累積接種率は全国で最も高い」と発表した。

中国メディアによると、広東省では6月20日時点で、1億112万回分のワクチンが接種されており、省内の人口に対する接種率は28.35%となっている。

また、6月3日時点で、同省の広州、深セン、佛山、東莞の4都市では、18〜59歳の接種率がいずれも70%を超えている。にもかかわらず、6月19日時点で、4都市すべてが感染地域に指定された。

広東省の保健予防関係者は、米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、インドの変異株が現地で急速に広がっていると述べた。また、「世界で感染率の高い上位10カ国のうち9カ国は、中国製ワクチンを使用している。私の友人で国産ワクチンを接種した人はほとんどいない」と、国産ワクチンの有効性と当局発表の信憑性に疑問を呈した。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
アメリカ議会下院特別委員会は新型コロナの最終報告書を発表。中国の責任や対策の教訓を指摘している
アメリカで依然としてエリス変異株が主流である中、科学者たちは新たなCOVID-19変異株「ピロラ」(BA.2.86)に注目しています。ピロラは多くの変異を持ち、免疫回避の可能性が指摘されていますが、感染力は低い可能性もあります。現在のワクチンや治療法が効果を持つことが期待され、今後の監視が続けられます。
中国で新型コロナウイルスの強力な変異株KP.2とKP.3が急速に拡大。多くの医療従事者も感染し、病院は満杯だという。学校での集団感染リスクも増加。個人防護の強化を求める声が高まっている
WHOは、世界中で新たな感染の波が起こっていると警告した。各国政府に対し、新たなワクチン接種キャンペーンを開始するよう要請している。
ミネソタ州最高裁判所は6対0で、州の新型コロナウイルス緊急事態宣言は合法であるとの判決を下した。