バングラデシュ、「一帯一路」建設予算を大幅削減 中国が出資撤回に言及
バングラデシュ政府が「一帯一路」のインフラプロジェクトを見直し、予算を削減したのを受け、中国側は同プロジェクトへの出資を取りやめると発言した。そのため、バングラデシュは北京に対して、資金提供の意思について確認を行い、「出資しないなら、他のルートで資金調達する」としている。
日経アジア6月28日付によれば、バングラデシュ政府は、中国企業が鉄道建設の費用を3倍に水増ししていることを発見したため、2つの鉄道プロジェクトの予算を合わせて5.72億ドル(約632.5億円)削減したという。中国は投資の撤回に言及したという。
中国は、予算が削減された1つの鉄道プロジェクトへの資金提供の拒否を明言した。別の鉄道プロジェクトについても、「中国の請負業者は引き続き施工しないだろう」とした。
報道によれば、中国側の出資条件に、請負業者は公開入札ではなく、中国政府の意向で決めるという内容があるという。中国側はプロジェクト費用の80~85%を占める建設費を負担し、バングラデシュ政府は用地、地元民への補償および労働者への賃金支払いを負担することになっている。
鉄道1キロ当たりの建設費は、中国の請負業者が720万ドル(約7.9億円)を請求しているのに対し、相場はその三分の一の225万ドル(約2.4億円)だ。
バングラデシュ当局者によると、同国政府は中国に書簡を送り、資金提供の決定の確認を求める予定だとしている。「中国が出資を取りやめるなら、バングラデシュ側は他のルートからの融資を求めることになる。その場合、鉄道の完成が遅れるかもしれない」とした。
バングラデシュ政策研究所の創設者兼事務局長で、同国の著名な経済学者でもあるアーサン・H・マンスール博士(Ahsan H. Mansur)は、中国が資金を撤回する理由の1つは、「予算削減と関係する可能性がある」とした。
マンスール博士は、中国と関連のある投資プロジェクトは常に水増しされていると指摘した。
「バングラデシュが中国製ワクチンではなく、インド製を選んだ時から、両国間の関係は緊張し始めていた」と付け加えた。
また、バングラデシュ政府は、「一帯一路」構想関連の別の鉄道プロジェクト(総工費約9億ドル)についても、費用の見直しを求めている。
バングラデシュは、中国がアジアと欧州をつなごうとして推し進める「一帯一路」構想の重要な戦略拠点となっている。
バングラデシュは2月初旬、2016年に中国と合意した5つのプロジェクトを変更し、そして中国はバングラデシュでの炭鉱と石炭火力発電事業への投資を拒否する意向を示した。
5月上旬、駐バングラデシュ中国大使は、米国主導の4カ国戦略対話「クアッド」に参加した場合、中国とバングラデシュの関係は「大きなダメージ」を受けるだろうとバングラデシュ外相に警告した。
バングラデシュ側は中国大使の脅迫に対して、「我々は独立した主権国家であり、外交政策は我々が決定する」と不快感をあらわにした。
(翻訳編集・李凌)