米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (Advanced Micro Devices, Inc. / AMD) 社が開発した中央演算処理装置やグラフィック・プロセッシング・ユニットに使われているコインサイズのチップ。参考写真(Sam Yeh/AFP via Getty Images)

フェイク半導体あふれる中国本土市場 海外にも広がる

中国の電子機器市場では、以前から偽造品が出回っている。世界的な半導体不足の深刻化に伴って、再生品や偽造品の流出が進んでいる。大量に市場、品質管理で手抜きが露呈している。

中国経済視察報(China Economic Observer)によると、あるチップ代理店は、サプライヤーはもはや偽造行為を隠すことすらしていないと明らかにした。むしろ、偽造品や不良品の販売を促している。また、多くの粗悪品は半額で提供されているわけではなく、市場価格で販売しているという。

チップ代理店は2種類の偽造チップを特定した。1つは電子廃棄物から回収された使用済みチップをリサイクルする方法で、ロゴを取り除いて洗浄し、新しいパッケージで再販したもの。もう1つは、正規の生産ラインから出てきた規格外のチップを包装して、良品として販売しているものだ。

当然の事ながら、消費者は製品の性能、信頼性、耐久性に不満を持っていることが多かった。しかし、不具合が発見されるのは、長期間、過酷な条件で使用された後である。そのため、損失を被るのはサプライヤーではなく、最終製品を扱うメーカーや消費者だという。

最も影響を受けるのは中小規模の企業

中国は長い間、輸入チップに頼ってきた。中小企業は輸入数量が少ないため、海外のメーカーから直輸入することができず、第三者の代理店を通じて購入しなければならない。そのため、中国の中小企業が偽造チップの最大の買い手となり、最大の被害者となっている。

例えば、ある小企業が、シンプルなデータ収集パックを設計していたが、デバッグ段階で不具合を検出した。そのため、チップを解析する会社の協力を得て、正規のルートで購入した本物のチップと比較したところ、問題は偽造チップからきていることがわかった。

偽造チップが海外に流出

広東省深セン市の華強北は、偽造チップの販売業者が多い商業地区として知られている。ここは、アジア最大の集積回路製品の物流センターとなっている。ここで生産されたチップの多くは、中国製の電子製品の輸出を通じて、海外に広まっていると考えられている。

中国では、「規格外」や「偽造品」を提供することは違法とされている。しかし、盈科法律事務所のシニア・エクイティ・パートナーZhu Yicong氏は、中国国営メディアに、中国の疑わしいチップメーカーに対して法的措置が取られることはほとんどないと語った。これは、「規格外」という言葉が曖昧であるため、販売されているチップが偽造品で、信頼できないものであると証明するには、独立した検査員が必要となる場合があるからだ。

もう1つの理由は、一部のバイヤーが、供給不足やコスト削減のために、違法なチップを黙認し、意図的に正規のチップと偽造品を混ぜて、偽造品の産業チェーンの形成を促していることだ。残念ながら、すべてのリスクはエンドユーザーや消費者が負うことになる。

(WINNIE HAN/翻訳・小蓮)

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