( Ikamura / PIXTA)

純真な一言が父の善念を目覚めさせ、一家の運命を変える

古くから言われている「君子慎独」という言葉は、自分と向き合ったとき、正直に、明るく、正々堂々とした生き方をすることを思い出させてくれます。ネット上で、ある貧しい家庭は生活が苦しく、お金を節約するために、夜を利用して野菜を盗んだという話が流れています。ある夜、父親子どもを連れて野菜を盗みに行きましたが、その時、子どもの純真な言葉が、家族の運命を変えました。 

 

ある村に、貧しい家がありました。父親はお金を節約するために、夜の暗闇を利用して他人の菜園で盗みを働いていました。ある夜、息子を連れてまた他人の菜園に忍び込みました。彼が大根を何本か抜いたところで、息子が背後から「お父さん、見ている人がいるよ」と軽く叫びました。父親はびっくりして周りを見回し、慌てて「どこ?」と聞きました。息子は上を指差しながら、「お父さん、ほら、が見ているよ」と答えました。 

 

その父親は、息子の言葉に呆気にとられ、自分の行動を後悔し、少し悲しくなりながらも、少し嬉しく感じ、黙って子どもの手を引きながら家へ帰って行きました。戸惑いながら、彼は思いました。「盗みは大きな罪業だが、子どもの口を借りて神様が私を悔い改めさせ、善に向かわせてくれたのかもしれない」 

 

ことわざにもあるように、人間のすべての行いは他人に見られていなくても、神様が見ています。物語の中の父親は、この翻意でどうなったのでしょうか。 

 

菜園の主人は、自分の野菜がよく盗まれることに腹を立て、「この憎らしい泥棒を絶対に捕まえなければならない」と、木の陰に隠れて泥棒を捕まえようとしていたのです。誰かがまた野菜を盗みに来たのを見て、泥棒を捕まえようと声をかけようとしたときに、彼はこの子どもの言葉を聞いて、思わず固まってしまいました。 

 

月明かりのなか、菜園の主人は泥棒の顔を見て、同じ村の貧しい生活をしている人だとわかりました。手をつないで無言で去っていく父子を見て、月を見上げ、彼は沈黙しました。 

 

菜園の主人が家に帰って、見たことを妻に話すと、妻は「月もあなたを見ているじゃない」と言いました。 

 

菜園の主人は一晩中眠れませんでした。そして翌日の昼、野菜を盗んでいた父親のところへ行って、「頼みがある。うちは人手が必要なんだが、助けに来てくれないか。もちろんお金を払うし、他にも野菜を持って帰ることだってできる」と言いました。 

 

その父親は当然、家族を養える機会だと仕事を引き受けました。 

 

その夜、貧しい家の父親は息子の手をとって、階段にしゃがみこんで月を見ていました。息子が「あっ、お父さん見て! 月が笑っているよ」と言いました。 

 

このとき、菜園の主人も、家で月を見ていました。妻に「月がずっと見ていたなんて、感じたこともなかった。人が何をしているのか、私がどう反応しているのかを見ている…ほら、月が笑っているよ」と言いました。 

 

歴史には「暮夜四知」というエピソードもあります。後漢の中期以降、朝政の腐敗が進み、役人たちも堕落していました。「天知る、地知る、我知る、汝知る。どうして誰も知らないと言えるのか」と、当時の太守である楊震は怒っていました。夜になっても、自分が何をしたかを知っているのはあなただけではなく、空の月も目を見開いてあなたを見ています。

 

翻訳 源正悟

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