中国初の宇宙実験モジュール「天宮1号」を搭載した長征2Fロケットが、2011年9月29日、九泉衛星発射センターから打ち上げられた。イメージ写真(Lintao Zhang/Getty Images)

中国軍、対衛星兵器の開発を推進=米国防総省幹部

米国防総省インド太平洋司令部の情報機関高官が、中国共産党が宇宙技術で米国との差を一気に縮めるために、人工衛星を妨害・破壊する兵器の開発に大規模な長期投資を行っていることを明らかにした。

米ブルームバーグ10日付によると、米インド太平洋軍のマイケル・スチュードマン情報司令官は、最近行われた情報セキュリティ業界のウェビナーで、中国共産党(以下、中共)が「(衛星のカメラやセンサーの機能を奪うための)ジャミングやダズリング(目くらまし)、さらには地上や宇宙からの射撃など、あらゆる種類の衛星攻撃兵器(ASAT)を開発している」と述べた。

「彼ら(中共)は、我々の宇宙能力を評価し、それに匹敵する、あるいはそれ以上の能力を求めている。これにより、優位性を確立し、戦闘目標を達成するために必要な機動力を得ることができる」とスチュードマン氏は語った。

この発言は、中共の対衛星攻撃能力に関する米国の最新の公的情報評価を反映したものと見なされている。

現代の軍事力の多くは、通信機能を含めて人工衛星にある程度依存している。米衛星に対する中国共産党の脅威と、ロシアの対衛星攻撃技術の進歩は、トランプ前政権が米宇宙軍(第6軍種)を創設した重要な理由となった。

米国家情報長官室(ODNI)は4月13日に発表した世界脅威評価に関する年次報告書の中で、中国軍が「米軍が持つ情報の優位性を損なわせるために、衛星による偵察・ポジショニング、ナビゲーション、タイミング(PNT)、衛星通信など宇宙サービスを兵器や指揮統制機能に統合している」と指摘した。

報告書によると、中共は過去にASATを配備したことがある。その中には、地上配備型ASATミサイルや、衛星搭載の光学センサーを無力化する地上発射型ASATレーザーなどがある。これらの設備は地球低軌道(LEO)衛星を破壊・妨害する能力を持っている。

また、いわゆる対宇宙開発は、潜在的な軍事作戦の不可欠な要素となる可能性がある。北京は、宇宙での軍事訓練を続け、「破壊的・非破壊的な地上・宇宙ベースの新型ASAT」を配備しているという。

いっぽう、ブルームバーグが入手した2022年度国防法案の報告書案の中で、下院歳出委員会は「LEO衛星に搭載された高感度センサーを混乱させたり、破壊したりする地上レーザーの脅威が高まっている」とし、この脅威を理解し、リスクを軽減する戦略を策定するための協調的な取り組みが欠如していると懸念を表明している。

報告書案は、中共を名指ししていないものの、国防総省が国家情報長官室と連携し、「潜在的な敵国のレーザー脅威活動に関するデータを収集、統合、特性化し、これらの脅威を軽減する戦略を策定する」ことを求めた。

スチュードマン氏は発言の最後に、「私たちはこれらの脅威を認識しており、対処のために多大な努力を続けている」「これからしばらくは、対策と戦略の勝負になるだろう」と締めくくった。

対通信システムの改良型「CCS Block 10.2」は、米宇宙軍初のASATであり、2020年3月に初運用を開始した。このシステムは、軍用輸送機で戦地に展開し、通信衛星などを介した敵の情報アクセスを遮断するための妨害装置である。宇宙軍は現在、開発会社を通じて、「メドウランズ(Meadowlands)」と呼ばれる新システムの開発を進めている。

(翻訳編集・王君宜)

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