2021年7月1日に北京で行われた中国共産党創立100周年記念式典で、習近平国家主席が演説する様子を映した大型スクリーンの前を歩く人々(Noel Celis/AFP via Getty Images)

81%の米国人が中国の影響力を懸念=世論調査

米国で行われた世論調査によると、8割以上の米国人が国内での中国共産党の影響力を懸念していることが明らかになった。

Convention of States Actionとトラファルガー・グループが行ったこの世論調査では、米国の政府、メディア、そして文化に対する中国の影響を「懸念している」「やや懸念している」あるいは「非常に懸念してい」ると回答した人は81%に上った。

このうち、共和党支持者の90%以上が「懸念している」、71%が「非常に懸念している」と回答し、民主党支持者の71%が「懸念している」、39%が「非常に懸念している」と回答した。無党派層では80%近くが「懸念している」と回答した。

同世論調査は、7月12日と7月13日に1,089人を対象に行われた。

この結果について、Convention of States Actionの代表であるマーク・メクラー氏は「驚いていない」と話した。メクラー氏は、支持する政党に関わらず、ほぼ毎日このような懸念を人々から聞いていると述べた。

「中国共産党が世界を支配することは、我々にとって邪悪な脅威であり、生存の危機だということを人々は理解している」 とメクラー氏は大紀元に語った。

意識の高まり

米国内での近年の出来事と、中国共産党の脅威を暴くトランプ政権の取り組みが、米国民が中国共産党の悪い影響力に気付くきっかけとなったとメクラー氏は述べた。

中国共産党の検閲に屈した米国企業は多数ある。

2019年7月、映画『トップガン』の続編の予告編が公開された時、トム・クルーズ演じる海軍飛行士ピート・「マベリック」・ミッチェルが着ていたレザージャケットから、日本と台湾の国旗が取り除かれていることにファンが気付いた。

この映画の制作会社の1つは、中国のテック大手テンセントの映画部門であるテンセント・ピクチャーズである。同社は中国における中国政府の検閲規則を遵守し、人気メッセージアプリWeChatを通じて米国ユーザーにも監視と検閲を拡大したことで知られている。

『トップ・ガン』の続編を年内に公開するパラマウント・ピクチャーズは当時、テッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州)から、国旗を変更したことについて批判を受けた。

「『トップガン』は米国の古典であり、ハリウッドのエリートが中国共産党をなだめるのを見るのは非常に残念だ」とクルーズ議員は2019年7月、ワシントン・フリー・ビーコンに語った。

クルーズ議員はその後、2020年4月にハリウッドが中国政府のために映画を検閲するのを阻止する法案(S.3835)を提出した。法案に添えられた声明によれば、彼はこの法案が「ハリウッドの映画会社に対して、米国政府からの援助と中国からの収入のどちらを取るか、選択を強いることで、警鐘となる」ことを期待している。

今年5月にも、映画『ワイルド・スピード』の最新作に主演する俳優のジョン・シナ氏が、台湾を「国家」と呼んだことを中国国営メディアに激しく非難され、動画を投稿して中国語でファンに謝罪する騒ぎが起きた。中国政府は台湾を中国の一部として扱うよう世界中の国々に圧力をかけてきた。

中国による浸透

米政府当局者は、中国共産党が米国社会のあらゆる領域に浸透していることに警鐘を鳴らしている。

FBIのクリストファー・レイ長官は4月の上院公聴会で、「私たちのビジネス、学術機関、そして国内のあらゆる政府に影響を与えるために、彼らには深く、広く、永続的な手段がある」と述べた。

2020年2月、ポンペオ国務長官(当時)は、州知事向けの演説で同様の警告を発し、中国共産党は姉妹都市プログラムを通じて「米国の郡の教育委員会や地方政治家との関係を築いている」と述べた。

中国領事館、統一戦線、孔子学院などの米国内の多数の中国人団体も、中国共産党の米国への浸透に関わってきた。

デイヴィッド・スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は昨年、中国共産党はこれらの機関を通じて、米国で「公の議論と政治的決定を支配する、あるいは少なくとも拒否権を持つ」ことを目指していると述べている。

メクラー氏によると、米国の大学は中国政府の最大の標的の1つだという。

ポンペオ氏は昨年12月の演説で、米国の研究成果を奪い、大学キャンパス全体の学問の自由を抑圧しようとする中国政府の取り組みについて警告した。

彼は、米国の多くの大学と中国の間に深い経済的つながりがあることを挙げて、「非常に多くの大学が北京に買収されている」と述べた。

米教育省による2020年の調査では、米国の大学は2014年から2020年の間に中国からほぼ15億ドルの契約とギフトを受け取っていたことが分かった。

「この専制的な政権が私たちの物を盗み、それを使って軍事力を構築し、私たちの国民を洗脳し、私たちの機関を買い取ってこれらの活動を隠蔽することを許してはいけない」とポンペオ氏は述べた。

中国専門家のゴードン・チャン氏にとって、今回の世論調査の結果は、この問題に対する一般市民と政治指導者の理解の差を明らかにした。

チャン氏は大紀元に対し、「米国民は、中国の悪意ある影響活動を非常に懸念している。政治指導者やエリートよりもはるかに認識していることを示している」と述べた。

「米国の頂点に立つ政治指導者たちが不安を感じないことは、米国が大きな危険にさらされていることを意味している」

(大紀元日本ウェブ編集部)

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