2011年9月29日に発射された中国初の宇宙実験モジュール「天宮1号」を搭載した長征ロケット(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

米専門家、中国衛星とロシアのデブリが衝突と報告 中国当局は否定

米宇宙軍によると3月、中国の気象衛星「雲海1-02」(Yunhai 1-02)が宇宙のデブリに衝突し、さらに数十個の宇宙ごみ(デブリ)を散らした。8月、専門家の解析で、この衝突したデブリはロシアのロケットの残骸だと報告した。中国メディアは「(衝突の)証拠がない」「欧米は中国の宇宙事業の信頼失墜を目論んでいる」と反論している。

中国の気象衛星「雲海1-02」(Yunhai 1-02)は2019年9月に発射され、「特別な任務」を背負っていると、軍事衛星だと安全保障専門家らに指摘されてきた。

米国は2021年3月中旬、中国側に衛星・雲海1-02へのデブリ衝突の危険性を複数回に渡って通知し、同18日には実際に衝突が起きたと公表した。しかし、中国当局は「海外の天文観測所が雲海1-02の定期的な電波を発信している」との情報をもとに、この事案を曖昧にした。

衝突についてさらに詳細が明らかになったのはその5か月後のことだ。ハーバード大学・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル教授は8月、米宇宙軍のデータから、雲海1-02に衝突したのはロシアが1996年に打ち上げたロケット「ジニト(Zenit-2)」の残骸だと突き止めた。

米FOXニュースは8月20日、双方の衝突で放たれた中国衛星のデブリは、米国空軍第18宇宙管制通信隊(SPCS)によって追跡されていると伝えた。

米国宇宙軍の報道官はFOX記者に送った電子メールで、「3月18日までの数日間に、SPCSは中国衛星・雲海1-02に衝突する可能性が高まっているスペースデブリ(パソコンのキーボード程度の大きさ)があると報告した」と語った。

「衝突の確率は最大で0.2%であり、適時かつ実用的な情報を提供するために、米国は中国政府に衝突の可能性があるという通知を何度も送った。その最初の通知が3月15日だ」とメールに書かれている。

米国空軍第18宇宙管制通信隊(SPCS)は衝突で放たれた雲海1-02の35個のデブリを追跡していると発表し、www.space-track.orgというウェブサイトで情報共有をしている。

しかし、中国共産党機関紙傘下の環球時報は8月23日付の記事で、雲海1-02の衝突情報について、3月10日に解体された米国気象衛星NOAA-17との関連をほのめかした。また、「欧米のメディアはしきりに中国の宇宙飛行の信用を落とそうとしている」として衝突それ自体を否定する論調で文章を発表している。

(翻訳編集・蘇文悦)

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