米インディアナ州、最後の孔子学院閉鎖へ 政府補助金停止の可能性で
米インディアナ州で唯一孔子学院を構えるバルパライゾ大学は8月30日、同院を来春閉鎖すると発表した。学長は閉鎖の理由について、孔子学院の開講を継続すれば連邦政府からの補助金を受けられなくなる可能性があるためだという。
孔子学院は、中国共産党が出資する文化的・思想的交流を目的とした教育機関。バルパライゾ大学のホセ・パディラ学長は8月30日に発表した声明の中で、連邦政府からの圧力の高まりと、孔子学院法案の可決により、プログラムを来年3月1日に終了すると述べた。
また、同氏は学生や教職員などに宛てた書簡のなかで、「一部の議員」が、2020年と2021年初旬に「孔子学院の存在を疑問視」して大学に接触してきたと説明し、「しばらく前から」孔子学院の閉鎖を検討していたと述べた。
インディアナ州のトッド・ロキータ司法長官は先月、バルパライゾ大学と孔子学院との関係を調査していると明らかにした。同氏は、バルパライゾ大学が中国から提供された資金をK-12プログラム(幼稚園~中等教育)に使用した際に連邦政府に適切に報告しなかったなど、資金に関する透明性に欠けていると指摘した。
パディラ氏はこれを否定し、同校の閉鎖も調査と関係ないと主張した。
パディラ氏は閉鎖の主な理由は、孔子学院法案の可決により、連邦政府から資金援助を受けられなくなることにあると強調した。孔子学院と提携することで教育省から補助金が打ち切られると、「財務状況に壊滅的な打撃をうける」と述べた。
3月に米上院で全会一致で可決された孔子学院法案は、キャンパス内に孔子学院を設置する大学に対して、大学側がその助成金やスタッフなどに関する権限を全て持ち管理することを規定する。違反した場合、大学は連邦政府の補助金が削減されることになる。
パディラ氏は、孔子学院は閉鎖するが、新たな中国文化交流プログラムを設立する予定だとし、「中国からの資金やスタッフを必要としないこのプログラムを作るために、音楽、言語、国際関係の教員に協力してもらう予定だ」と述べた。
孔子学院は2004年に韓国ソウルに初めて設立され、2020年7月時点で世界162カ国540か所あまりの大学相当の教育機関に設けられている。中国語と中国文化の教育を通じて、世界各国との相互理解と友好関係を促進しすることを掲げているが、中国共産党のプロパガンダ機関であると厳しい目が向けられている。近年では、各国の孔子学院の閉鎖が相次ぎ、かつては100校以上あった米国の孔子学院は、現在では50校以下となった。
(翻訳編集・山中蓮夏)