パラ米国選手、日本人スタッフからの手紙に感動「勝ち負けより価値がある」
9月5日、国立競技場で東京パラリンピックの閉会式が行われ、13日間にわたる大会が幕を下ろした。8月31日、男子走り高跳びT63(運動機能・義足)決勝が行われ、右足に義足をつけた米国のサム・グルー(Sam Grewe)選手は金メダルを獲得した。
グルー氏は競技前、ある日本人スタッフから手紙を受け取ったという。「私たち家族は勇気づけられた。本当にありがとう!」と書かれている。グルー氏はこの手紙をツイッターで公開した。「勝ち負けより、この手紙が何より。価値あるものだ」と投稿した。その感動的な手紙の内容は反響を呼んだ。
A local Japanese man just handed me this note shortly after I arrived at the track to compete. Win or lose, this is what it’s all about. This makes it all worth it. pic.twitter.com/tOk4LNrE39
— Sam Grewe (@samgrewe) August 31, 2021
手紙を書いた男性の13歳の息子は、10歳の時に右膝の骨肉腫を患い、患肢温存的回転形成術 (rotationplasty) の手術を受けたという。
同じ骨肉腫を患い手術を経て競技に取り組むグルー氏もまた13歳の時に骨肉腫と診断された。右足を保存するために腫瘍の摘出を行い、膝下の切断を選択した。
「日本には術後の機能について情報が少なくて、息子の将来を心配していた。そこで、SNSでパラリンピック選手として活躍しているあなたのことを知った」と書かれている。「息子はテレビで見守っている。みんな応援しているよ、グッドラック!」と声援が送られた。
国際パラリンピック委員会(IPC)の報道によると、グルー氏はミシガン大学の医学部に在学している。パラリンピックに向けて準備している期間中も、毎日6時間の勉強を続けている。いっぽう、勉強のプレッシャーがあるからこそ、競技には緊張感を持って取り組むことができたという。
手紙をしたためた男性の息子にとって、活躍するグルー氏の姿が大きな励みになっており、今は中学校でサッカーをしているという。「まだ医者ではないが、これを読んで嬉しくなった」とグルー氏は語った。
(大紀元日本語編集部)