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冬になる前に「早起き習慣」を身につけませんか?

早起きは三文の徳(得)」といいます。

もとは中国の古詩に典拠があり、そちらの原義は「3日早起きすれば1日分の働きになる」という現実的な利益を指すようです。これが日本語に入ると、いかにも日本的にこなされたようで、身近に置いてじゃまにならない諺(ことわざ)になります。

昔の人は「早起き」ではなく「早く起きるのが日常」でした

三文とは、具体的な金額ではなく「わずかな価値」という意味でしょう。

そのため「早起きしたって、大したプラスにはならないよ」という解釈も可能なのですが、そこは日本人のある種の「常識」が防いでくれますので、誤読することはありません。

三文文士、三文小説、三文芝居、三文オペラ(?)などのように、日本語では、およそ自身(主体)の謙遜や卑下の意味で「三文」をつかいますが、他者に対する低評価につかうことは少ないからです。

「塵も積もれば山となる」が良い意味であるように、小さなことでも、細やかな心づかいで大切にし、積み重ねるのが日本人です。

早起きすることは、もちろん大した行為ではありませんが、それが精神的な「徳」になり、また健康面での「得」にもなるとすれば、一日を「早起き」からスタートすることは、どんな医療や薬よりも人間の体に有益であるかもしれません。

ちなみに昔は、日本人も中国人も、ものすごく早起きでした。

と言うより、それが日常だったので、当人は早起きとは思わず、ただ太陽の動きとともに、日々の生業を元気にこなしていただけです。平均寿命は長くなかったでしょうが、そうした昔の人は、現代人よりはるかに健康的でした。

今こそ取り戻したい「早起きのメリット」

さて、早起きではなくなった現代の私たちにとって、「早起きのメリット」は何でしょうか。

まずは「セロトニン」と「メラトニン」という、二つのホルモンからお話しましょう。

セロトニンは「快楽ホルモン」とも呼ばれ、消化管および中枢神経系に存在します。

メラトニンは「がん抑制ホルモン」とも呼ばれ、抗がん、睡眠の促進に役立ちます。

朝起きたとき、目が日光を感じると、光が脳内の松果体を刺激してセロトニンを分泌します。セロトニンの分泌が早いほど、気分が良くなります。

夜になると、これらのセロトニンは十分な量のメラトニンに変換され、眠りにつきやすくなります。セロトニンやメラトニンの分泌量が多いか少ないかは、早起きして、どれだけ日光の洗礼を受けるかどうかにかかっているのです。

私たち現代人は、どうでしょうか。夜になっても活動しているのが当たり前になっていませんか。秋の夜に、就寝前のひとときを静かな読書で過ごすなら、とても良い時間です。

しかし、スマホやパソコンに熱中して、深夜まで興奮状態のままでいるとしたら、それはもう病気の前段階に来ているかもしれません。

明日の朝が来ることを拒むような、無意味な夜更かしは、健康に良いことは一つもありません。

夜更かしに慣れてしまうと「体内時計」が乱れ、前述した2種類のホルモンの正常な分泌に影響を与えます。それが長期的になれば、発がんリスクを高めたり、うつ病などの慢性疾患にかかりやすくなると言えます。

こうしたリスクを避けるため、ベッドから起きにくい冬になる前に「早起きの習慣」を身につけておくことは、今からできる有効な健康法なのです。

三文だけでない、早起きは「9つの得」

早起きのメリットは、それだけではありません。

早起き(および早寝)は、あなたの体に9つの大きな変化をもたらします。いずれも、あなたに喜んでいただけるものと確信しています。

1、肌と顔の色つやが良くなる

早起き早寝は、人体の新陳代謝を良くします。そのため顔や肌のつやが良くなり、目の下の隈(くま)が薄くなるはずです。夜更かしして、翌朝遅く起きた人の顔は、どうでしょう。10歳も老けて見えるのではありませんか。

2、肥満しにくい

よく夜更かしする人は、内分泌が乱れているため、肥満を招きやすい体質になっています。早起き早寝の習慣に加えて、適切な食事と適度な運動をすれば、肥満しにくく、ダイエットもきっと成功するでしょう。

3、便通が良くなる

朝起きると「起立反射」があり、朝食後には「胃結腸反射」が生じるため、腸が蠕動し、便のスムーズな排出を助けます。朝は、排便に最適な時間というわけですね。ところが、夜更かしして遅く起きる人は、起床してからの時間が非常にタイトで、朝食をとる時間もなく家を飛び出すため、しばしばこの排便機会を逸します。

4、免疫力を高める

早起き早寝の習慣は、体内の各システムを調和させる基本となります。それによって、人間が本来もつ免疫力が高まり、病気にかかりにくくなるのです。

5、慢性疾患のリスクを軽減

早起きは心臓病、うつ病、ガンなどの慢性疾患のリスクを軽減することができます。

6、精、気、神が良くなる

「一年の計は春にあり、一日の計は朝にある」と言われます。皆様の日本でも、同様の言い方があると聞いています。天気の良い日に、早起きして日の出を見ると、セロトニンが多く分泌され、体内の気(エネルギー)が充実し、精神状態が良好になります。

7、不安感を解消する

早起きの人は、時間に余裕をもって行動できるため、仕事を効率よく終わらせることができます。そのため、イライラすることもなく、不安感をもつこともありません。

8、学習力、注意力、記憶力の向上

早寝早起きによって、良質の睡眠をとることができます。十分に休養した脳は、注意力や記憶力が高まっており、学習や仕事の効率を上げ、生産性を高めます。

9、ポジティブ思考になれる

早起き習慣の人は、ストレスを感じることが少なく、ポジティブ(楽観的)に思考できるので、明るい性格になります。

「早起きが良い」と分かっていても、人は、それぞれの事情のなかで毎日の仕事をしています。夜勤中心の人、シフト制の人、変則型勤務の人、締め切りに追われて徹夜もやむを得ない人。

皆さん、本当にご苦労様です。

もし、理想通りの早起き早寝ができないとしても、必要な睡眠時間をなんとか確保し、適度な運動を取り入れることによって、セロトニンを作ることができます。

それでは、どうぞお元気で。

(文・林旭華/翻訳編集・鳥飼聡)

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