中国の一帯一路、途上国の隠れ債務は43兆円超=米大学調査
米ウィリアム・アンド・メアリー大学傘下の研究機関「AidData」が29日に公表した調査報告書によると、中国からの借り入れ規模が今年度の自国国内総生産(GDP)の1割を上回った途上国は42カ国にのぼっている。
報告書は、中国からの借り入れのうち3850億ドル(約43兆617億円)は「隠れ債務」で、各国政府のバランスシートに記載されていない。また、中国の海外融資の7割は被投資国の国有企業、国有銀行、合弁企業などに向けられており、時間とともに悪化していると指摘した。
AidDataは報告書の中で、中国企業による海外インフラ建設プロジェクトの35%は、汚職スキャンダル、労働法違反、環境汚染、地元住民からの反対など重大な問題が生じている。83億ドル(約9284億円)規模の約400件の海外インフラ建設プロジェクトは中国軍と関連しているという。
ドイツ、南アフリカ、英国、米国などの研究者100人以上が、中国当局が融資を行った1万3427件のプロジェクトについて、約9万1000件の公式文書を調べ、同報告書を作成した。
中国当局は、2013年に巨大経済圏構想「一帯一路」を発表してから、アフリカや中央アジアの163カ国で、インフラ建設のために8430億ドル(約94兆2883億円)以上を投じた。また、同年以降、中国当局は毎年、海外開発プロジェクトに850億ドル(約9兆5071億円)を投じている。この金額は米国など先進国が毎年、途上国へ貸し出す額の約2倍だという。
報告書によると、中国当局は各国への資金援助を通じて、3つの目的を果たそうとしている。▼中国の輸出企業が獲得した巨額な外貨を対外融資に変えること▼海外の建設プロジェクトを通じて国内の建設業と製造業を振興すること▼国内で不足している原油などの資源を取得すること。
報告書は、中国側の融資金利は高く、返済期間が短いと示した。いっぽう、これに対して、先進国は低金利の融資または無償資金協力を行っており、返済期間も長いという。「(中国側は)信用力の弱い国に不相応な貸し出しを行った」と報告書は指摘した。中共ウイルス(新型コロナ)の大流行の影響で低中所得国の返済能力が一段と弱まったため、これらの国の債務問題は深刻化しているという。
ウィリアム・アンド・メアリー大学が発表した声明では、報告書の作成者の一人で、AidDataの上級調査員であるアマル・マリク氏は、「中国当局の国際的な融資や資金援助活動は依然として秘密裏に行われている」「中国側は海外の開発金融ポートフォリオに関する詳細情報を開示していないため、低中所得国が一帯一路への参加コストとその利益を客観的に判断するのは難しい」と述べた。
(翻訳編集・張哲)