カナダの豪邸を出て裁判所に向かう孟晩舟氏(Photo by Don MacKinnon / AFP) (Photo by DON MACKINNON/AFP via Getty Images)

米中国大使館、中国語で司法省声明を掲載 孟晩舟氏釈放巡り

米国の駐北京大使館は9月30日、中国のSNS微博を更新し、中国通信設備大手ファーウェイ(華為技術)の副会長・孟晩舟氏との司法取引成立に関する司法省の声明を中国語で掲載した。声明は、米国のイラン制裁措置を逃れるため、孟氏が「金融機関に虚偽の説明をしたことを認めた」と強調し、中国政府の同氏釈放が「外交の勝利」とする宣伝に反論した。

孟氏は9月25日、カナダでの自宅監視から約3年ぶりに中国に帰国し、英雄的な扱いを受けた。中国政府は、米司法省の孟氏に対する告発は事実無根であり、同氏の釈放は中国の完全勝利だとプロパガンダを展開した。

外務省の華春瑩報道官は定例記者会見で、米司法省の孟氏に対する告発は「完全に」作り話であり、米国とカナダは「孟氏を任意に拘禁した」、同氏の釈放は「中国の勝利だ」と強調した。

中国共産党機関紙の人民日報傘下の「環球時報」は、「孟晩舟氏は罪を認めていない、ファーウェイも巨額の罰金や損害賠償を払うことはない。これは最低限の正義だ」と力説した。

日本のメディア関係者である李易明(音訳)氏は孟氏がカナダで監視されている間、中国共産党は彼女を肯定的に宣伝していたと大紀元英字版に話した。中国のインターネットには、彼女を反米の英雄とするプロパガンダが溢れていた。

李氏は、中国共産党が孟氏を反米の英雄にするのには、2つ目的があると分析した。一つは、今は誰も中国共産党を信じていないため、庶民を煽るにはちょうどいいタイミングだという。もう一つは、当局による企業への一連の締め付けに、人々は不満を持っている。人々の愛国心を刺激すれば、注意をそらすことができるという。

9月26日から、山東省鄒平市の第2実験小学校の5年8組の課題がネット上に出回った。課題のテーマは「孟晩舟事件から考えたこと」。「孟晩舟とは誰か?誰が彼女を拘束したのか?なぜ彼女は拘束されたのか?彼女はどのようにして救出されたのか?孟晩舟事件は私たちに何を教えてくれるのか?小学生のあなたは将来にどんな希望を持っているのか?」など6つの質問が挙げられていた。

同市のスーパーマーケットの経営者は、孟氏の事件は学校で生徒を洗脳するために利用されたとし、「何も知らない子供たちがかわいそうだ」と大紀元英語版に語った。孟氏は中国人が苦労して稼いだお金でカナダの豪邸に住んでいるのに、中国人は彼女を応援していると言った。

ネットで孟氏を称賛する中国人は 「本当に病んでいる 」と切り捨てた。

一方、米司法省のメディア向け声明文には、孟氏は自身に対する司法省の告発をすべて認めたことで、米国での訴追を2022年後半まで延期する司法取引に合意したと記されている。

声明文は、「孟氏は司法省のすべての告発を認めた。つまり、彼女と他のファーウェイの社員はファーウェイのイランでの取引のため、各国の金融機関、米政府と市民を騙した」と述べた。

(翻訳編集・叶子)

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