ペコ&コロ助 / PIXTA

車椅子から立ち上がり「最愛の妻と踊る」

親愛なる日本の皆様へ。

初めてお目にかかります。

私は、米ルイジアナ州のライアン・エストと言います。今年34歳になります。

今から16年前、それは高校最後の年でしたが、私は自動車事故に遭いました。

私は、もちろん死にませんでしたが、自分の人生計画の全てを、本当に根本から立て直すことになりました。

その事故があってから、私の足は、この両手で操作する「2輪の車」になりました。

そうです。腰から下が麻痺してしまい、もう二度と立てなくなってしまったのです。

もともと私はスポーツ好きだったので、大学に入ったら、勉強よりもフットボールを思い切りやるつもりでした。

ところが、この体です。車椅子バスケットボールがあるのは知っていましたが、それをやろうとは思いませんでした。

それどころか、私自身、頭の中が真っ白になってしまったので、自分の人生に起きたことの意味がさっぱり分からない、今の自分が全く見えない状態になってしまったのです。

私はその時、それまでの18年間という、短い人生を振り返っていました。

私は、とてもわがままで、人に優しくできない、思いやりのない人間でした。

その私が、こうして車椅子の上に乗り、周囲の人の親切を受けながら、生きています。

目の高さが、以前より数十センチ低くなりました。見える風景が、少し変わったようです。

さいわい、両手は動きます。脳も、あまり勉強した記憶はありませんが、損傷を受けずに済みました。言葉も、問題なくしゃべれます。

自分にできることをやり、使える機能を駆使して、これからの人生を作り直していくのだなあと、だんだん分かってきました。

私は、やはりスポーツがやりたくなりました。選んだのはフットボールではなく、自分でも思いがけない競技だったフェンシングです。

25歳のとき。それは2013年でしたが、私はロンドン・パラリンピックに出場しました。

メダルには届きませんでしたが、その経験は私に「人生はポジティブ思考であらねばならない」ということを、痛快な思い出とともに、爽やかに教えてくれるものとなりました。

もう一つ、私の人生において「金メダル級」の嬉しい出来事がありました。

2年前の2019年に、友人を通じて、ある女性と知り合いました。

美しく、大らかな心をもつ彼女は、チャンドラーといいます。

その年の12月31日、私は初めて彼女をデートに誘いました。

私の心は、確実に彼女に引かれていました。おそらくチャンドラーも、それは分かっていたと思います。

あとは、二人で一緒に乗り越える勇気がもてるか、どうか。

私は苦悩しました。彼女も、同じだったはずです。

去年の12月。それは私たちの初デートから1周年の記念日だったのですが、一緒に出かけたFive Point Mountainの景勝地で、私は(彼女の前に跪くつもりで)車椅子から指輪を

渡しました。チャンドラーは、私の求婚を受けてくれました。

そして今年6月5日、私たちはラスベガスのブリス教会で、多くの友人に祝福されながら結婚式を挙げることができました。

美しい白いドレスのチャンドラーを驚かせたサプライズは、私が車椅子から立ち上がって、花嫁をダンスに誘うという粋な演出でした。

男の友人2人が、私の体を両側から支えて、持ち上げます。私のずいぶん細くなった両脚は、友人のそれぞれの側の足に、ひもでしばりつけてあります。

ちょっと不恰好でしたが、私は新妻であるチャンドラーをしっかりと抱き、友人たちの拍手のなかで、なかなか見事なダンスを披露しました。

チャンドラーの笑顔の頬に、涙が流れ落ちました。

そのとき、この女性を愛し、妻にした私は、人生で最高の幸福を得たことを神に感謝しました。

(翻訳編集・鳥飼聡)

関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。