大学時代、彼氏と彼の友人の会いかたにとても驚きました。女性は集まるとマシンガントークをしていますが、男性たちは久しぶりに集まっても直接ネットカフェで待ち合わせをし、並んで座ってゲームをしたり、おしゃべりをしているのを見て、私は、「どうして大人になった今でもゲームをしたがるのだろう?」と気になって、本などで真剣に調べた結果、その背景には理由があることがわかりました。
原始時代の部族社会の頃から、男女の役割は分かれていました。女性は食料の収穫と子育てを担当し、男性はタンパク源を確保するための狩猟や捕獲が主な仕事でした。社会の発展の過程で、男たちの本能は戦闘に変わっていきました。
激しい競争の中で何かを勝ち取ったときに味わうスリル。現代の文明社会では、狩りをする必要性はなくなっていますが、男性は「スポーツ」や「テレビゲーム」などでそれを体験することができ、スポーツよりも手軽に遊べるため、テレビゲームの誘惑に勝つことができないのです。
スポーツやゲームで勝つと、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが増え、快感につながります。ドーパミンは快楽や喜びをもたらすホルモンですが、それを追求し続けると依存症が発症し、大きな問題になります。薬物中毒と同じように、ゲーム中毒の脳は次第に「ゲームを求める脳」になっていくのです。
最近のゲーム中毒の現象は、男子だけでなく、女子にも見られるようです。ゲームがこれほどまでに流行している理由は、大きく3つあります。
まず、昔は中高生しかゲームを楽しめなかったのが、今は男女問わず幅広い年齢層が楽しめるようにゲームのデザインも変わってきています。また、近年はスマートフォンの普及により、携帯端末でいつでもどこでもゲームができるようになったことも原因の一つです。
また、女子は男子と自然に遊ぶようになり、男子の文化を共有するようになったこと、男女が一緒にオンラインカフェに行ってゲームをすることも珍しくなくなったなど、昔に比べて男子と女子のコミュニケーションが頻繁に行われるようになりました。
ゲームの人気は当然の結果と言えそうです。今までゲームに興味のなかった人が、友人からのゲームの誘いに乗り、一瞬にしてゲームの世界へ引き込まれています。要するに、ゲームは昔に比べてとても身近で、簡単に遊べるようになったということです。
「ゲームをすること」自体は悪いことではありませんが、依存症になると問題になることがあります。特に、心身ともに未熟な若い人ほど、その傾向が強いといえます。子どもが遊びすぎていると感じたら、親がまずすべきことは、パソコンを叩き壊すことでも、スマホを没収することでもなく、子どもが本当にゲームに「依存」しているのかを観察して判断することです。
「ゲーム依存症」の最もわかりやすい特徴は、「ゲームをすることで日常生活に支障をきたす」ことです。子どもが学校の勉強をしっかりやっていて、たまに暇つぶしにゲームをする程度なのに、「子どもがゲームに依存している」と言う親がいますが、実際は、ゲームを使って一時的にストレスを解消しているだけなのです。そのため、お子さんの遊び時間が本当に長すぎるのか、客観的な視点で見ることが大切です。
もし、子供がゲームをした結果、睡眠不足、栄養障害、脱水症状などの健康被害を受けたとしたら、これは深刻な依存症です。ゲームが子供の生活の一部になってしまうと、その中毒性を断ち切るのは非常に難しいことです。ゲーム中毒を「直せない病気」と大げさに表現する人もいるくらいです。
しかし、私の考えは違います。
ゲーム依存症の脳内経路は薬物依存症と似ていますが、ゲーム依存症は薬物依存症よりも心理的な問題だと思います。ですから、まずは相手が何を考えているのかを理解し、その過程でゆっくりと整理してあげると、ゲームをめぐる子どもとの衝突を減らすことができるのではないでしょうか。
もし、本当に遊ぶのが好きで上手なのであれば、それについて素直に会話することも良い対処法です。ゲームの将来について話し合うことを通じて、お子さんと対話を始めることで、お子さんに社会に関する考え方を教え込むことができます。
お子さんが単に趣味でゲームをするのか、それとももっと踏み込んでゲームに関連した職業をしたいのか。例えば、キャラクターデザイナー、シナリオライター、ゲームデザイナー、プログラマー、システム開発者、プロゲーマーなど、職業の選択肢は想像以上に多いです。
自分はゲームが好きなだけで、ゲームをするのは苦手だとわかっているお子さんには、ゲームに関連した職業について話して、好奇心を刺激してあげるといいと思います。キャラクターデザイナーを夢見るお子さんには美術の勉強を、ゲームの脚本を書いてみたいというお子さんには文学に触れる機会を増やすなど、「ゲームをする」ということに対して広い視野を持てるように指導してあげてください。
「ゲーム依存症」の特徴として、「ゲームが日常生活に及ぼす影響」に加え、「一日中ゲームに没頭したい」「他のことよりゲームを優先する」などが挙げられています。
ゲームにはまった子どもたちは、現実感が低下し、仮想世界と現実世界の区別がつかなくなり、現実世界に対する興味も失われていきます。親がゲーム依存症の子どもを仮想世界から積極的に導き出し、家庭の問題、友人関係の問題、不適切な学校生活、ストレスの多い学業など、子どもが逃げ出したいと思っている問題がないか、現実世界をよく見てあげることが重要です。
最後に、「ゲーム依存症」のもう一つの理由として考えられるのは、子供がゲーム以外にすることがないということです。そのため、ビデオゲーム中毒の子どもたちには、ビデオゲームばかりではなく、料理、読書、スポーツ、工作、音楽、美術など、ビデオゲーム以外の分野に取り組む機会を与え、健全に時間を過ごすことが重要です。こうした活動を通じて、子どもたちが家族や友人と一緒にいる幸せを自然に感じることができれば、ゲームの世界ではなく、現実の世界に生きていることを自然に実感することができます。
曦允氏からの暖かいアドバイス
お子さんがゲームにはまっていた場合、まず見るべきは、家庭内でお子さんをゲームの世界に追いやる力が働いていないか、ということです。例えば、権威主義的な家庭文化、対話の欠如、兄弟姉妹間の差別待遇、虐待、経済的要因などが、お子さんの依存症につながる可能性があります。また、孤立、学校での不適切な言動、学業上のストレスなど、学校での問題も依存症の大きな原因となることがあります。
ゲーム以外の現実の場所でも、お子さんが存在感を感じられるようにしてあげてください。安心して遊べる環境があれば、子どもたちは自制心を持ち、ゲームの頻度も管理できるようになります。
(翻訳・志水慧美)
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