音楽は心身を癒す効果があり、東西を問わず、病気を治すために音楽が使われた例があります。(Shutterstock)

音楽は良薬 音楽には強力な治癒力がある

音楽は、人々の生活に欠かせないものとなっています。料理をするときも、仕事をするときも、通勤するときも、音楽は常に身近な存在です。病気の治療法として、中国の古文書に記載されているだけでなく、音楽は西洋でも治療法として使用されていました。

『說苑(ぜいえん)』によると、苗の父は竹筒で作った楽器を演奏し、多くの人の病気を治したようです。漢方医学では、心と体は一体であり、音楽は心を幸せにするものです。

欧米では、19世紀半ばにフローレンス・ナイチンゲールが、負傷した兵士を音楽で癒し、その効果を認めました。第二次世界大戦前には、病院などで音楽を治療目的に使用する報告がかなり増え、第二次世界大戦後には、音楽療法が医療関係者にさらに認知されるようになりました。

1950年の「ニューヨーク・タイムズ」紙の記事には、「(音楽療法は)まだ始まったばかりだが、間違いなく価値があることが判明した」と書かれています。病院では、他の治療法が効かない傷病兵の難病が、音楽療法によって改善され、治癒することさえあったようです。

音楽は五行や宇宙と大きな関わりがある

実は、中国の古文書によると、音楽の起源は宇宙の形成にまでさかのぼるといいます。

『呂氏春秋』には、「音楽の起源は遥か遠く、太一から生まれた。そして太一は2つの陰と陽から派生したものである」と記されています。そのため、音楽は長い歴史を持ち、人体や文化、宇宙と密接に関係しているのです。

宇宙が誕生した当初は、目に見えない状態でした。長い進化の過程で、太極が生まれ、物質が集まり、定着し始めたのです。太極から両極が生まれたとき、五行、季節、方位を包含する陰陽の概念が生まれました。このように、すべてのものには陰陽五行の意味合いが含まれているのです。

また、音楽の五音は、五大元素に対応しています。五音とはなんでしょうか?

『管子・地縁篇』の中に、長さ81単位の竹筒で「宮調」を決め、三分損益法で五音音階を導き出し、「宮」、「商」、「角」、「徵」、「羽」に至ると記されています。西洋音楽でいう、「ド」、「レ」、「ミ」、「ソ」、「ラ」です。

漢方では、五音は五行だけでなく、五臓六腑、五方位、季節に対応しているとしています。

漢方医として600年以上の家系を持つイギリスの漢方医、舒榮氏は「五音と五行には関係があり、五音は全体として内臓や季節、方位とつながっています」と言います。つまり、音楽と人体や宇宙との間には大きなつながりがあるのです。

音楽の五音は身体の五臓六腑に効き、病気を癒すことができる

『黄帝内経』には、「天には五音、人には五臓。…天と地は対応している」とあります。

また、奇跡的に、五音の周波数が五臓六腑に対応していることが、現代医学でさしあたって判明しています。

現代の科学的見地から、人体の臓器はある周波数で振動しており、音楽が音波を通じて体内の臓器と共鳴し、臓器の生理機能を調節して治療効果をもたらすことが、「北京中医薬大学ジャーナル」に掲載された研究により明らかになりました。

その結果、肺と大腸に対応する「商音(レ)」の周波数は、肺と大腸の共通周波数と同じであり、「角音(ミ)」の周波数は、肝臓と胆嚢の共通周波数と同じ、さらに残りの3つの音も同様であることがわかりました。

漢方医学では、通りが悪ければ痛みや不調がおこり、通りが良ければ痛みや不調はないとされており、「音楽の力はツボを振動させ、通りをよくする」と言います。

『黄帝内経』では、すべての病は気から生じるとし、気血の流れが悪くなることでまず七情が生じると述べています。例えば、怒りは気を上に流すので肝臓を痛め、恐れは気を下に流すので腎臓を痛め、不安は気を滞らせるので脾臓を痛める…つまり、感情的に過剰反応すると、さまざまな病気につながることがわかるのです。

さらに舒榮氏は、「それぞれの内臓には、精神的な要素と物質的な要素がある」と説明します。音楽は物質的な身体の気血の滞りを解消すると同時に、精神と感情を調和させ、「病気や痛みが自然に治る」ということです。

舒榮氏は、中国の伝統的な五音音階の音楽には、強力なヒーリングパワーがあると言います。さらに、特定の音楽を聴くことで、心臓や肝臓、腎臓の病気を治療することも可能だというのです。

良い音楽は良い薬

しかし、音楽で癒すためには、適切な種類の音楽を選ぶ必要があります。「不適切な音楽は病気の原因になる」と舒榮氏は言います。

同じ周波数の音楽は身体の器官に共鳴しますが、異なる周波数の音楽は身体の器官を混乱させることがあります。漢方医学では、不協和音や騒音は人を不快にさせ、肝臓や腎臓などの臓器の健康に影響を及ぼすとされています。

一方、音楽が身体に良いかどうかは、五音の使い分けだけにかかっているわけではありません。作曲家や演奏家の内面的な精神状態や道徳観が純粋かどうかにもよります。悪い音楽は、人体に病気をもたらすだけでなく、国家を滅亡させることさえあるのです。

鄭玄の『禮記‧注』には、春秋時代に晋平公が衛霊公を招いて宴を催したことが記されています。そして、音楽家たちに、音楽を演奏するように頼みました。

途中で晋国の楽師・石光が慌てて止めに入り、「これは古代の音楽家・石燕が暴君の王のために作曲した音楽であり、堕落し、淫靡で士気を奪う、堕天の音である!最後まで弾き終えてはならない!」と言い放ちました。これは、古代人が音楽の影響を重要視していたことを表しています。

舒榮氏は数年前、李さん(仮名)という患者さんに出会ったといいます。李さんのお子さんは、うつ病を患っていました。ある時、李さんの奥さんが子供を連れて神韻の公演を見に行ったところ、帰ってきた子供のうつ病が治り、とても礼儀正しくなったそうです。そして1年経っても、子どものうつ病は再発しなかったので、奥さんはこのことが信じられず、何度も舒榮氏に話しました。

舒榮氏は、「神韻の公演を観て、子どものうつ病が治った。公演の音楽もその理由のひとつだ。神韻の音楽は、中国の伝統的な作曲技法で、五音を主旋律とし、その他の音節を補助的に用いて作曲されており、その純粋な五音音楽は、五行の原則に沿い、非常に治療効果がある」と説明しました。

一方、音楽そのものがポジティブな意味合いを持ち、演奏者の心が純粋であれば、音楽の持つ癒しの効果はより高まります。神韻楽団の演奏家は法輪大法の学習者であり、「真・善・忍」の原則に従って、平和な精神状態を保っています。この状態では、身体のエネルギーが発揮され、演奏された音楽が身体に良い影響を与えると舒榮氏は言います。

(翻訳・志水慧美)

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