筋肉をつけたい、維持したいのであれば、肉を多く食べるより、野菜を多く食べたほうがいいのです。(Shutterstock)

筋肉をつけるため野菜を食べよう !肉よりも筋肉に良い理由とは

若い頃は男女問わず健康でありたいと思うものですが、中高年になると筋肉の衰えが加速し、筋肉量を維持することがますます重要になります。ある研究によると、50歳を過ぎると、寝たきりの状態での筋肉の減少率は、30歳の時の10倍以上にもなるそうです! 筋肉をつけたり、維持するにはどうすればいいのでしょうか?

 

タンパク質を多く摂れば摂るほど、筋肉が増えるのでしょうか?

怠けている暇はありません、ジムに通いましょう! 筋トレは筋肉をつけると誰もが思っています。そうでしょうか?研究の結果、筋トレ後48時間以内に筋肉の合成と分解の速度が著しく増加することが明らかにされています。合成の割合が分解の割合より大きければ、筋肉量は増加します。

合成分解の速度をより早くするには、どうしたらいいのでしょうか?それは食事と関係があります。研究によると、1日のタンパク質摂取量が体重1kgあたり0.85gを超えると、筋トレによって筋肉量が増加し、逆に1日のタンパク質摂取量が体重1kgあたり0.85g未満だと、筋トレによって筋肉量が減少することがわかっているそうです!

アメリカ医学研究所の「1日に体重1kgあたり0.8gのタンパク質を摂取する」という基準は、科学的根拠に基づいているようです。ジムでの努力の成果を上げるには、1日のタンパク質摂取量を体重1.5g/kg以上に維持するのがベストです。

 

プロテインは筋肉増強に効果がないのか?

多くの研究で、異なる植物性タンパク源による筋肉増加の効果に、客観的な差はないことが分かっています。総タンパク質摂取量が十分であれば、プロテインは影響しにくいといえます。

野菜や精進料理を食べても筋肉がつくということでしょうか? その通りです! ゴリラや牛を想像すればお分かり頂けるでしょう。では、どのような場合にタンパク質を補えばよいのでしょうか。トレーニング直後?

研究の結果、トレーニング直後やトレーニングしない日にプロテインサプリメントを摂取しても、筋力、体組成、筋肉増強、レジスタンストレーニングによる機能向上は期待できないことが、明らかにされています。つまり、お腹が空いたら食事をし、十分なタンパク質を摂取できれば、いつ食べるかは問題ではないのです。

筋肉増強を促進する他の栄養成分とは? 最近の研究では、オメガ3脂肪酸であるEPAが高栄養条件下で筋タンパク質合成を有意に増加させることがわかっています。そのため、亜麻仁を食事に取り入れることが大切です。

亜麻仁を食事に取り入れると、筋肉がつきやすくなります。(iTor / PIXTA)

 

筋肉を維持するためには、野菜を摂取したほうがいいのか?

筋肉をつけるのもひとつの手ですが、筋肉を維持できなければ、トレーニングの意味がありません。筋肉維持に最適な食事とトレーニング方法とはなんでしょうか。研究結果により、高タンパク食品や果物よりも野菜を摂取する方が筋肉の維持に良いこと、レジスタンストレーニングよりも有酸素運動による高強度トレーニングの方が筋肉の維持に良いことは明らかです。この予想外な結果は多くの人を驚かせました。

なぜなら、野菜は体内に入ってアルカリ性の環境を作り、無酸素運動は酸性の環境を作るからです。アルカリ性の環境は、筋肉を維持するのに適しているのです

研究から、尿中カリウムが多い人ほど筋肉の割合が多く、植物性食品を摂取する割合が高い人ほど脱脂された筋肉の量が多いことが分かっています。尿中カリウムが多いことと、植物性の食事は、いずれもアルカリ性の体である証です。体内のさまざまな食物の代謝産物は、酸性とアルカリ性のレベルが異なります。動物性食品は含硫アミノ酸を多く含むため、代謝後に強酸性の硫酸を生成し、体内環境に高い酸負荷を与えますが、植物性食品は弱アルカリ性の環境を作ります。

細胞内が酸性に傾くと、骨格筋の分解が促進されますが、骨格筋のタンパク質合成速度は変化せず、最終的には筋肉が減少してしまいます。

 

筋肉をつけるには、どのような食事をしたら良いのでしょうか?

十分なタンパク質を摂取できる純植物性の食事は、筋肉の合成と分解の両方の側面を兼ね備え、筋肉増強に最適な食事と言えます。

最後に、筋肉増強や維持のための野菜中心の食事の摂り方についてご紹介します。

・野菜、果物、豆類、全粒穀物を中心とした食生活を心がけます。

・1日に体重1kgあたり1.5gのタンパク質を摂取します。良質なタンパク源としては、キヌア、大豆、ヘンプシード、スピルリナ(螺旋状の微細藻類)、さらに穀物タンパクが挙げられます。

・亜麻仁、シソの実、チアシード、ヒハツ(コショウ科の香辛料)、スピルリナなど、ALA/EPAの供給源を食事に取り入れます。

・炭水化物やカロリーの十分な補給。カロリーが足りなくなると、私たちの体はタンパク質を消費してカロリーに変えようとします。できるだけ複合炭水化物を取り入れましょう。

・ビタミンB12+ビタミンD/日光を浴びることは、体を正常に働かせるために欠かせないものです。

・適度な筋トレと十分な睡眠。この2つは、筋肉の合成を確実に行うために必要不可欠な要素です。 (ウェブサイト記事)

大豆と大豆製品は、良質なタンパク源です。(Shutterstock)

 

(責任編輯・劉炎心/翻訳・香原咲)

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