米国食品医薬品局(FDA)は3月1日、米ファイザー社がワクチン承認のために提出したデータファイルの一部を初めて公開した。FDAは約75年後に全情報を公開する予定だったが、訴訟の失敗により早期公開に至った。
米有力大学の教授や医療専門家ら数十人が設立した非営利団体「透明性を求める公衆衛生や医療の専門家(PHMPT)」は、米ファイザー社と独ビオンテック社が共同開発したワクチンのデータファイルの公開をFDAに求めたが、拒否された。同団体は昨年9月、FDAは情報自由法(FOIA)に違反しているとして、テキサス州北部地区連邦地方裁判所に提訴した。
FDAは法廷で、関連するデータファイルは45万ページ近くあり、人手不足のためすべての情報を照合・公開するのに時間(約75年)がかかると主張した。
一方、PHMPTは、FDAがファイザー社にワクチンの緊急使用許可(EUA)を与えた際に、データを検討する期間が108日しかなかったことから、データは直ちに公開できる状態にあるべきだと指摘。何百万人もの米国民がワクチン接種の義務化によって職を失い、解雇される危機に直面しているため、データは緊急に公開される必要があると訴えた。
1月6日、米国連邦地方裁判所のMark T. Pittman判事は、情報自由法に基づくこの請求は公共の利益に適うとして、FDAに8カ月以内にすべての文書を公開するよう命じた。
FDAの生物製品評価研究センター(CBER)は3月1日、ファイザー社がFDAに提出した5万5000ページのワクチンデータ文書を初めて公開した。
文書には、38ページに及ぶ報告書「承認後の副反応報告の累積分析(Cumulative Analysis of Post-authorization Adverse Event Reports)」が含まれている。ファイザー社製ワクチンの副反応は、腎臓障害、急性弛緩性脊髄炎、脳幹塞栓症、心停止、出血性脳炎など1291種報告されている。
報告によると、2021年2月28日までに報告されたワクチン接種後の副反応は4万2086件(15万8893症状)で、米国(1万3739件)が最も多く、次いで英国(1万3404件)、イタリア(2578件)、ドイツ(1913件)、フランス(1506件)、ポルトガル(866件)、スペイン(756件)、その他56カ国(7324件)となっている。
4万2086件の副反応のうち、平均年齢は50.9歳(女性2万9914件71.1%、男性9182件21.8%、残りの性別は不明)であった。このうち、1223人(2.9%)が死亡、1万9582人(46.5%)が回復または療養中、520人(1.2%)が回復後の後遺症を有している。
最も多く報告された症状は、頭痛(24.1%)、発熱(18.2%)、疲労(17.4%)、悪寒(13.1%)、接種部位の痛み(12.3%)、吐き気(12.3%)、筋肉痛(11.7%)などだった。
米市民団体「子供の健康保護(Children’s Health Defense)」の会長兼法律顧問であるMary Holland氏は3月4日、プレスリリースサービスの「グローブニューズワイヤ」への寄稿文で、今回の事件を「爆裂弾(Bombshell)」と表現している。
記事の中で、同氏は「少なくとも、FDAとファイザー社がなぜ75年間もデータを秘密にしておきたかったのか、その理由がわかった」と述べ、「ファイザー社のワクチン接種は、深刻な被害をもたらす可能性が明らかであること、被害者がファイザー社を損害賠償で訴えることができないことから、直ちに中止すべきである」との見解を示した。
2020年12月中旬~22年2月18日まで、米国政府の予防接種後副反応報告システム(VAERS)に報告された副反応は113万4984件であった。このうち、2万4402人が死亡。また、心筋炎および心膜炎の症例は4021件で、そのうちファイザー社が2475件、モデルナ社は1364件、ジョンソン・エンド・ジョンソン社(J&J社)は171件となっている。
日本では、厚生労働省が2月18日に発表した「予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告状況について」によると、2021年2月17日〜22年1月23日までに投与されたファイザーワクチン1億7097万7414回分のうち、副反応の疑いがあるものは2万7085件、重篤な症例は5736件、死亡例は1064件であった。モデルナ社のワクチン3255万7064回分のうち、副反応の疑いがあるものは4120件、重篤な症例は707件、死亡例は55件であった。
(翻訳編集・王君宜)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。