【名作随感】『高慢と偏見』――今日も啓発をもたらす19世紀の不朽の名作(下)

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謙遜する心

著者ジェイン・オースティンは本の中でそれぞれの人物の性格の欠点、そして、登場人物たちが自ら自分の欠点を少しずつ直していくところについて詳しく描写しています。

2人の主人公エリザベス・ベネットとフィッツウィリアム・ダーシーはともに欠点を持っており、そして、2人とも過ちを犯し、付き合いの中で高慢さと偏見を持つようになりました。その後、2人は互いを傷つけ、幸せを掴むチャンスを逃してしまうところでした。

それでも、2人は自分たちが犯した過ちを反省し、性格が良くないことに気づき、それを改めました。謙遜する心によって、2人は高慢さと偏見を消し去り、そして、互いに尊重し合うことを学び始めました。

ダーシーは自分の利己的な部分に気づかせてくれたエリザベスに感謝し、「幼い頃からの教育で、何が正しいかを学んだが、誰も僕自身の態度を改めることを教えてくれなかった。世間をうまく渡る方法を教わっても、結局は高慢で思い上がった態度を取ってしまう……君のおかげだ。僕は自分の欠点を改めることができたよ」と、エリザベスに伝えました。

そして、ダーシーの真の姿が見えないほど自分の偏見にとらわれていたことに気づいたエリザベスは、「たとえ恋に落ちたとしても、こんなに盲目的にはならなかった。でも、私をこんなに愚かにしたのは、実は愛ではなく虚栄心だった。今ようやく本当の自分に気づいたわ」と謝り、全ての偏見を捨て、ダーシーという男性を改めて認識できるようになりました。
 

振舞いと自制

インターネットで『高慢と偏見』に関するコメントを読んで、多くの人が19世紀の規範的な振る舞いに興味を持っていることに気づきました。女性が部屋に入ってくる時、男性は立ち上がり、ダンスはまじめに行い、誰もが道徳を重視していました。この点からも、この物語が不朽の名作と呼ばれるもう一つの理由がわかります。『高慢と偏見』は「誰もが心の中では、より良い文明社会を望んでいる」ということを、小説を通じて表しているのです。

よりよい社会を築き上げるには自制が重要です。小説の中でもこの点を強調しています。例えばダーシーが初めてエリザベスに求婚した場面がそうです。きっと受け入れてくれると自信満々のダーシーでしたが、まさかエリザベスにこっぴどく断られるとは思いもせず、非常に驚愕していました。

この場面で著者は、ダーシーが怒りを感じながらも、自分の感情を抑え、「彼は冷静を保とうと最大の努力をし、自分を落ち着かせてから再び口を開いた」と書いています。怒りが爆発しやすい今の時代では、自制は非常に難しいことです。しかし、著者は小説を通じて我々に「紳士は常に冷静さを保てるものだ」ということを教えてくれました。

『高慢と偏見』はファミリーとラブストーリーを結合させた作品です。中の主人公たちは自分たちが犯した過ちのために苦しみますが、それでも克服しようと努力しました。その結果、主人公たちはハッピーエンドを迎えられたのです。

ダーシーとエリザベスは強い高慢と偏見を抱いていましたが、謙虚に自分の欠点を認め、そして、勇気をもってそれを改めることができたのです。2人の互いに対する尊重と愛は対等なもので、それに影響されて、もう1組のカップル、ビングリーとジェーンも最後は幸せをつかむことができました。

『高慢と偏見』は、本当の幸せは自らの過ちや欠点を改め、相手を尊重することからきていることを人々に伝えています。これも、この物語が美しく感じ、世界中の人々に愛され続ける原因なのです。

(完)

(作者・MADALINA HUBERT/翻訳編集・天野秀)