バロック音楽を聞くと「忘れられた音」、つまり、どこか遠くて上品で、爽やかな、美しい音が心に流れ込んできます。(shutterstock)

華麗にして清新 クラシック音楽  バロック(上)

バロック時代が始まった最初の50年の間、バロック音楽は不規則で、大げさであるものの、豊かな響きを持っていました。その後、イタリアの作曲家、アルカンジェロ・コレッリ(1653年-1713年)は比較的に規則性を持った、暖かさと情熱にあふれた音の使い方を好みました。コレッリは作曲家であると同時にヴァイオリニストであり、指揮者でもあり、彼のヴァイオリンの楽曲は後の作曲家たちの模範となりました。

バロック音楽には極めて貴重な価値と貢献があり、それまでの音楽になかったいくつかの特徴を持っています。通奏低音という伴奏の形態と、モノディ様式がこの時期に生まれ、また、オペラやオラトリオ、カンタータ、レチタティーヴォなどもこの頃から盛んになりました。その後、最盛期を迎え、ヨハン・ゼバスティアン・バッハとゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルがいくつもの偉大な傑作を発表した後、バロック音楽は終焉を迎えました。

 

通奏低音とモノディ様式の出現

 

通奏低音はバロック音楽の特色であったため、この時期を「通奏低音の時代」と呼ぶこともあります。通奏低音の運用により、通常のメロディと低音パートの強烈な対比が生じ、そのため、両者の間に空間が生まれ、即興的に和音を入れることができます。もう一つの特色は即興演奏の普及と装飾音の使用です。これらは独奏曲やトリオ・ソナタに使われることが多いです。

モノディ様式とは、簡単に言えば、モノフォニーのことで、一つの旋律を和声で伴奏するスタイルで、独唱、または独奏曲に用いられることが多いです。建築と同じように、低音のベースパートがあれば、その上に様々なきれいな外観の建物を建てられます。自由度が高いため、幅の広い音楽表現が可能となります。

これは15世紀の終わり頃、フィレンツェ・ローマを中心に生まれた新しいスタイルです。それまでのルネサンス期のポリフォニーは複数の独立したパートが同時に演奏され、壮大で荘厳な響きを伝えることができ、教会音楽に使用されていましたが、少し複雑なものでした。一方、モノディ様式は比較的簡単で、感情をより明白に伝えることができるため、広範囲にわたって用いられるようになったのです。

(翻訳編集・天野秀)

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