栗の健康効果「記憶力の向上、心臓病の改善、抗がん作用も」

(ここではヨーロッパグリ)は栄養価の高いナッツです。ほんのり甘い風味とカリカリとしたナッツのような食感が特徴で、サラダやスープ、フィリング(パンやケーキの具材)など、さまざまな料理に加えることができます。

「パンの木」とも呼ばれる甘栗は、地中海沿岸やヨーロッパで好んで食べられ、栄養源にもなっています。炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質など、栄養価の高さは広く知られています。 ここでは、栗が人間の健康にもたらす5つの効果をご紹介します。

1.記憶力を向上させる

栄養価の高いナッツとして好まれている栗は特に、酸化的損傷、炎症、老化、認知症、記憶喪失に有益な効果があることが示されています。

2020年に雑誌『Current Pharmaceutical Design』に掲載されたレビューでは、栗を含む9種類のナッツの認知症予防効果が調査されました。この研究では、必須脂肪、タンパク質、ビタミン、繊維、ミネラル、微量元素など、ナッツの豊富な栄養が指摘されています。記事の中で、研究者は、ナッツのこれらの特性は、記憶喪失と戦う人々のための代替治療法になる可能性があると述べています。

2.心臓の健康を改善する

栗は、抗酸化物質である没食子酸とエラグ酸の形で、心臓血管の健康によい栄養素を提供します。この2つの物質は、酸化ストレスから心臓を保護するのに役立ちます。酸化ストレスは、脳卒中や心臓病のリスクを高める可能性があります。

また、栗にはカリウムというミネラルが多く含まれており、心臓の健康維持や血圧の調節に役立ちます。

3.糖尿病の予防

栗をはじめとするナッツ類の摂取は、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの予防につながります。 栗には脂肪酸、食物繊維、植物性タンパク質、ポリフェノールなどの有益な成分が含まれています。

この中でも活躍するのが、栗に豊富に含まれる抗酸化物質です。抗酸化物質は、フリーラジカルと呼ばれる不安定な分子によるダメージから細胞を保護する働きがあると言われています。フリーラジカルによる酸化ストレスは、糖尿病、心臓病、さまざまな種類の癌などの慢性疾患のリスクを高める可能性があります。

4.体重減少

栗には食物繊維が多く含まれ、満腹感を長く持続させることができます。食物繊維には、食べ物が胃から腸に通過する時間を遅くする働きがあるためです。また、動物を使った実験では、栗を補った食事が腹部の脂肪を減らすことが分かっています。

5.抗がん剤

2014年の研究では、フラボノイドやポリフェノールを含む栗(中国栗とも呼ばれる)には抗がん作用があり、糖尿病合併症を予防する可能性があると発表されました。

栗はいろいろな食べ方ができます。食事に加えることができます。生でも食べられますが、栗にはタンニンが多く含まれているため、敏感な人は消化不良を起こす可能性があります。栗を茹でたり焼いたりしてもよいでしょう。火が通れば、栗の皮は簡単に剥けます。栗は健康的でおいしいおやつとして、またお祝いの料理の具として利用することができます。

(翻訳・里見雨禾)