認知症を予防するために「週3回は魚を食べましょう」(2)
(前稿より続く)脳の正常な血流を維持するには、心臓が健康でなければなりません。
そこで、ぜひ食べていただきたい食品、摂取してほしい栄養素、実行したい生活習慣を中心に、「認知症にならない5つの方法」として以下に挙げます。
1、週に3回は魚を食べる
ぜひ食べていただきたい魚は、サケ、イワシ、サバなどω3脂肪酸を含む魚です。ω3脂肪酸は抗炎症の作用をもち、血圧を低下させる働きがあります。
ω3脂肪酸は、脳細胞の構造と機能をサポートする「必須栄養素」ですが、体内では合成できないため必ず食事から摂らなければなりません。ω3脂肪酸の摂取量が減少すると、認知能力の低下が加速されます。老化を防ぐには、特に重要な栄養素です。
2、植物性の食物をとる
緑葉の野菜、エキストラバージンオリーブ油、ブルーベリー、ナッツ類、豆類など各種の植物性食品には、ポリフェノール、フラボノイド、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
これらの微量栄養素は、抗酸化および抗炎症作用を有するもので、血管の機能を保護します。
地中海食のような植物性食品を多く含む食事は、血圧を正常に保ち、血中のグルコース(ブドウ糖)を調節することができます。これらは、認知症リスクの低下に有益なものです。
3、加工食品は多く食べない
一方、飽和脂肪酸、精製された炭水化物、赤い肉(牛肉・豚肉)、加工肉製品は炎症を引き起こすと考えられています。これらの食品は、心臓疾患だけでなく、高血圧、2型糖尿病、肥満にも関係するものです。
これらの食物を多く食べることはお薦めできません。それは同時に、私たちが他の食べ物から得られる本当の利益を逃していることにもなります。
全粒穀類(オート麦、ライ麦、ソバ、大麦など)は、食物繊維、ビタミンB類、ビタミンE、マグネシウム、および各種の植物性栄養素が含まれ、抗炎症および抗酸化に有益です。
一方、精製された穀類(白パン、白米、パスタなど)は高度に加工されているため、これらが本来もつ(精製される前の)栄養素の多くは除去されています。
4、運動する
年齢や体力に合った適度な運動は、炎症を軽減し、血圧を低下させ、血管機能を改善します。
私たちは、運動することによって脳に多くの酸素を送り込み、記憶力や認知機能を改善することができます。生涯にわたる運動習慣をもつための鍵は、ご自分の好きなスポーツや体を動かす趣味を選ぶことです。
5、禁煙
言うまでもありませんが、喫煙はあらゆる意味で健康に重大なマイナスをもたらします。
喫煙者は、非喫煙者よりも60%も高い確率で認知症を発症すると言われています。実際、喫煙は炎症と酸化ストレスを増加させ、人間の血管と循環機能を大きく損傷します。
もしも今、あなたが喫煙者であったら、ご自身とご家族の健康のために、今日から禁煙を断行することを心より願っています。
あなたが「もう何十年もタバコを吸ってきたから、今さら禁煙しても遅い。手遅れだよ」とお考えなら、それは間違っています。手遅れではありません。たとえ今から始める禁煙でも、タバコの健康被害を最小限にできる可能性はあるのです。
実際、以前は喫煙していたが今は完全に止めた人は、現在も喫煙している人に比べて、認知力低下のリスクは明らかに低いのです。こうした生活改善を実行するのは、明日からではなく「今日から」とお考えください。
以上の「5つの方法」をご参考に、ご自身の健康をもう一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
将来の認知症を予防し、脳の認知機能を正常に保つためには、心臓の健康をはじめ、全身の健康が不可欠であるということに尽きます。
(翻訳編集・鳥飼聡)