「ヨハン・セバスティアン・バッハ」。モスクワにあるコローメンスコエ公園での砂の彫刻の展示。(Shutterstock)

クラシック音楽史上 燦然と輝く巨人 バッハ(上)

神の思し召し

聞いた後、余韻を残すだけでなく、人の心に深く残る音楽とはどんなものなのでしょうか。雄大な響きの楽章、それとも変化に富んだ旋律、それとも寧静で愉快な音なのでしょうか。

いずれにせよ、たとえ音符が千変万化の姿や表情を見せることがあっても、少なくとも天国からの音楽が平和で美しいものであることは確かです。たとえ盛り上がっても、それは平和の中で輝いており、理性の下で感情が表現されているのでしょう。

音楽史に名を残す巨匠たちの、作曲において共通して言えることは、大なり小なり「神からのインスピレーション」を受けていることです。

 

音楽の父、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

バロック音楽の代表で「音楽の父」と呼ばれるバッハは、教会の礼拝のための音楽を創作することをライフワークとし、一生を宗教に捧げた人でした。彼の作品は非常に多く、また多様であるため、彼が生み出したどの曲種の音楽もその曲種の中での傑作であり、後世の作曲家や演奏家が研究し、模倣してきました。音楽史におけるバッハの位置づけは、崇高でゆるぎ難いものです。

バッハの音楽が不朽であることは、最近行われた2つの科学的研究によって明確に証明されました。アメリカのデンバー大学で行われた実験では、植物にさまざまな音楽を聴かせ、その成長を観察しました。クラシック音楽を聴いたグループでは、植物が青々と育ち、特にバッハの名曲が流れると、音源の方向に向かって60度というこれまでにない角度で成長したのです。

インドの伝統音楽も同じような効果があります。一方、最悪の結果はロック音楽で見られ、ロック音楽を聴いた植物は成長が悪いだけでなく、音楽の発信源から離れ、2週間後には枯れて死んでしまいました。

また、放牧中の乳牛にバッハの音楽を聴かせたところ、聴いた牛は聴かなかった牛に比べて、より多く、美味しいミルクを出したという実験も有名です。そのため、最近の牧場では、搾乳時間の午後3時や4時にバッハの音楽を流すところが多いそうです。バッハの音楽は子牛の鳴き声にも似ているので、それを聞いた乳牛は次々と自分から前に出てきて、乳を搾らせるという話もあります。

バッハの音楽には、周囲の環境に影響を与え、ある生命さえも変えてしまうような、絶対的な「純粋さ」と「規則性」をもつ特質があると言われています。

バッハの音楽を定期的に流すことで、牛や植物の成長が著しく改善されただけでなく、現在流行している音楽療法や胎教の音楽にもバッハの音楽はよく取り上げられます。

これらの前向きな効果は確かに不思議ですが、唯一の説明は、宇宙のすべての生命には感じる能力があり、芸術家自身が純粋な心と魂を持っていれば、作られた曲もポジティブな性質を持つようになり、美と善に満たされれば、周囲のすべての生命に恩恵を与え、宇宙のすべてのものを引寄せて清聴させることができる、ということです。そして、バッハの音楽は、その完全なる例です。

(続く)

(翻訳・微宇)

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