【芸術秘話】ヴィクトル・ユーゴー 芸術家への偏見
1821年、19歳のヴィクトル・ユーゴーは幼馴染であり、恋人でもあるアデール・フシェと婚約しました。ユーゴーにとってアデールは完璧な存在でしたが、彼の唯一の心配は、アデールのスケッチ画に対するただならぬ熱意でした。
ユーゴーのために描いたこの肖像画から分かるように、アデールは絵画の分野でそれなりの才能を持っていました。絵画技術を更に上達させようとアデールの両親は彼女をある女性画家の下で修行させましたが、その画家の評判が高いことがわかってもユーゴーは心配でした。
というのも実は、当時の社会では、芸術家に対する印象はあまりポジティブなものではなく、女性画家は特にそうでした。ユーゴーはアデールの名誉が傷つけられることを心配していたのです。
ユーゴーはアデールに1通の手紙を書きました。「良い家庭に生まれた女性が、役者や踊り子と同室して良いと思うか?」つまり、役者や踊り子たちは人前に顔をさらすので、地位が低いという意味です。
しかし、アデールはユーゴーの言葉に耳を傾けず、引き続きその女性画家の下で絵画を習いました。その後、ユーゴーはこの画家を認め、彼女のために詩を書きました。そして、この女性画家は、後に、ユーゴーの兄弟と結婚したのです。かつて、見下していた画家がまさか自分の義理の姉になるとは、当初のユーゴーは思いもしなかったでしょう。
(翻訳編集・天野秀)
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