最古の古代ギリシア詩作品である『イリアス』と『オデュッセイア』は、紀元前8世紀末の盲目の吟遊詩人であるホメロスが書いた長編の叙事詩です。
ギリシアとトロイアの間に起きた10年間にわたる戦争が『イリアス』の背景で、物語は戦争の10年目に起きたことから始まります。『オデュッセイア』は、トロイの木馬を立案し、10年間続いたトロイア戦争に終止符を打った、イタケーの王である英雄オデュッセウスの10年にわたる冒険談について描かれているため、『オデュッセイア』は『イリアス』の続編とも言われています。
『イリアス』と『オデュッセイア』は戦争と冒険について書かれているだけでなく、社会の出来事を記した史料でもあり、後世の古代ギリシアの歴史、地理、民族、文明、宗教、哲学への研究探索に豊富で大事な資料を提供しています。
この有名なホメロスの叙事詩は西洋文化の基盤とも言え、多くの哲学者や文学者たちはこれを参考としてきました。西洋文化は主に宗教文化と古代ギリシア文化から成り立っているため、これらの最古の古代ギリシア詩作品は各階級や分野の人々に多大な影響を及ぼしています。
西洋の建築や芸術作品はよく間接的にあるいは直接的にこの2作品の人物や出来事を用いるので、西洋の歴史や文化、芸術などの分野に対する人々の理解に直接影響しています。
言い伝えによると、これらの叙事詩の内容はホメロスが作り上げたのではなく、彼はただ単に民間で歌われ、口頭で語り継がれてきた物語を記録して、まとめただけだといいます。
『イリアス』と『オデュッセイア』の中で、何度も同じ韻律や似たような語句が繰り返し使われており、これを「ホメーロス風」叙事詩と呼んでいます。また、物事や人物の前に比喩表現が加えられ、このような表現方法は「ホメロス的直喩法」と呼ばれています。
『イリアス』だけでも直喩表現は200以上使われました。例えば、第二巻の中の、支度を整えて出発を待つギリシア側の軍隊を表現する部分では、「イノシシ」や「ライオン」などの単語で戦士たちの勇猛さを表現し、「暗闇」や「嵐」などで戦争の残虐さや殺戮を形容しています。そして、戦後の静けさは「夜明け」で表しているのです。(つづく)
(翻訳編集・天野秀)
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