アントグループ本社ビル。(STR/AFP via Getty Images)

中国学者「指導部はアントグループの影響力に怯んだ」 上場中止めぐり

中国の経済学者である李稲葵氏は、昨年、電子商取引最大手アリババ集団傘下の金融会社、アントグループに対する中国指導部の締め付けを巡って、同社は複雑な人脈を持っており、強い政治的影響力を持つことに最高指導部は「怯んでいた」と明かした。

シンガポールの中国語紙・聯合早報によると、李氏は3日にオンライン形式で「大華民間銀行2H 2022投資フォーラム」に参加した際、中国のインターネット規制問題について発言し、アントグループに触れた。

李氏によると、2020年11月初め、指導部が香港と上海の両株式市場への上場計画を急遽差し止めた原因は、同計画に多くの政府高官とその家族が関わっていたことにある。一部の都市では、次期トップ(省・市の共産党委員会書記)として指導部に期待されている高官も参与していた。

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中国ではこのほど、浙江省杭州市トップ、周江勇・党委員会書記を含む複数の幹部が失脚したことが分かった。杭州市政府は現在、「政商関係を整理する」との運動を展開している。専門家は同市に本社を構えるIT大手アリババ集団に対する習近平当局の締め付けが関係していると指摘した。
習氏は「共同富裕」を目指すという目標を掲げ、富裕層への締め付けに乗り出した。また、三次分配について「高収入を合理的に調節し、違法収入を取り締まる」と発言している。中国当局の「共同富裕」政策に恐れをなした民間企業は、自発的に寄付する動きを見せている。
中国政府はメディア・テクノロジー業界への規制・統制を強化しているなか、最近、民間資本の報道業界への参入を全面的に禁止する新しい規定を打ち出した。