米国の大学内にある孔子学院 (Huang Yuntian/The Epoch Times)

「用済み」となった孔子学院、名前を変更し生き残り図る=米報告書

中国当局主導のもと海外に設置された教育施設「孔子学院」は近年、中国共産党の浸透に対する懸念の高まりから閉鎖が相次いでいる。そうしたなか、一部の孔子学院は表向きには撤退したように見せかけ、名称を変更して運営を続けていることが、米団体の報告書で明らかになった。

報告書を発表した米国の保守派団体「全米学識者協会(NAS)」によると、全米118か所の孔子学院のうち、約100か所は閉鎖または閉鎖予定となっている。しかし、58か所は引き続き提携先の高等教育機関と緊密な関係を維持し続けており、28の大学が類似するプログラムを再度採用していた。

「孔子学院の遺物ーー米国の高等教育に対する中国の永続的な影響力ーー(仮訳)」と題する報告書では、大学などが孔子学院と提携を結ぶ際、秘密保持契約書に同意しなければならないと記されている。また、援助金額を漏らしてはならないこと、教材は中国のものを使用すること、政治的話題に触れないことが要求されたという。

孔子学院は中国共産党と密接な関係にある。2020年8月、米国国務省は米国の孔子学院を中国の「外国使節」として指定した。マイク・ポンペオ国務長官(当時)は孔子学院について「アメリカのキャンパスやK-12教室(小中高)で、北京のグローバルプロパガンダや悪意ある影響活動を後押しする組織」と評した。

事実、中国共産党政治局常務委員の李長春は2007年4月、孔子学院は「中国の海外宣伝機構の重要な一部」であると発言している。

米中経済安全審査委員会の2018年の報告書では、孔子学院は影響力工作を統括する中国共産党の統一戦線工作部と「長年にわたる正式な関係」があるとされている。

孔子学院は中国共産党から資金援助を受けており、教科書代や教師の人件費などは共産党が負担する。米国上院の調査委員会は2019年2月、中国共産党が2006年以降、米国を拠点とする孔子学院に対し1億5800万ドル以上を投資していたことを明らかにした。

孔子学院の「教訓」

6月21日、保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の集会に出席したNASのレイチェル・ピーターソン上級研究員は、孔子学院にまつわる物語は「成功」であり「警告」でもあると述べた。

ピーターソン氏は前出の報告書「孔子学院の遺物」のなかで、孔子学院を建築用の足場に例えていた。つまり、中国共産党が影響力工作という「建物」を完成させた以上、その「足場」である孔子学院はもう用済みということだ。

用済みとなった孔子学院だが、形を変えて存続し続ける場合もある。報告書によると、米国の大学が孔子学院の閉鎖を決めた理由として最も多く上がったのは、プログラムを新しく置き換えるというものだった。言い換えれば、孔子学院の名前は捨てたものの、投資は継続するということだ。中共政権の影響に懸念を示したのは5校のみで、ほかの大学はその問題性を認定していない。

孔子学院の閉鎖に対する中国共産党の態度にも変化が見られた。報告書によると、中国共産党は当初こそショックのあまり怒りを表したが、それは次第に「遺憾の意」に変り、最終的には代替プログラムを支援するようになった。

いっぽう、米国の大学が中国共産党のペナルティを受けるケースも出ている。例えば、ジョージア州のケネソー州立大学は少なくとも3万1000ドルを支払い、メリーランド大学は90万ドルを中国に返済した。これは中国が当初、孔子学院の改修のために提供した資金である。

また、米国の非営利団体が仲介役となり、孔子学院の存続において重要な役割を果たしていることも報告書に記されていた。

全米学識者協会は米国連邦政府への提言として、孔子学院または類似するプログラムを維持し続けている教育機関への公的資金援助を制限することを挙げている。また、米国の大学に対する外国投資の開示要件の厳格化も提唱した。

(翻訳・李明月/編集・王文亮)

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