ラプラン寺の秘密
中国甘粛省夏河県には、300年の歴史を持つラプラン寺が建っており、その中には、高さ約8メートル弥勒菩薩が建立されています。
ガイドのラマ僧によると、「未来仏とも呼ばれるこの弥勒菩薩は法輪を手にし、未来仏として法輪と八大金剛童子を率いて人間界に降りてくる」といいます。
ラプラン寺は、弥勒菩薩を強く信仰していますが、弥勒菩薩は本当に未来を司る宇宙の主(ぬし)なのでしょうか?
未来仏・弥勒菩薩
大乗仏教では、燃燈仏は過去仏、釈迦如来は現世仏、そして、弥勒菩薩は未来仏という「三世仏」の言い方があります。
燃燈仏は釈迦如来以前の仏で、前世の釈迦如来に対して、未来に悟りを開き、成仏すると予言しました。釈迦如来もまた、自分の教えが人々を救い済度できなくなった時、弥勒菩薩が降臨して人々を済度すると示しました。
では、弥勒菩薩はいつこの世に降臨し、衆生を済度するのでしょうか? 経典によると、転輪聖王が人間界を平定する頃になるといいます。その時が来ると、たとえ出家せずとも修行することができるというのです。
転輪聖王は、古代インドの伝記に登場する理想的な帝王です。降臨の時、空に金輪(こんりん)が現れ、この金輪を持つ者は、全宇宙を司り、慈悲と智慧をもって世界を平定するとしています。
救世主・メシア
実は、仏教だけでなく、他の多くの宗教でも救世主の予言が出回っています。 キリスト教では、救世主の名は「メシア」とされています。有名な言語学者である季羨林(きせんりん)氏とその生徒である復旦大学の銭文忠教授によると、メシアと弥勒菩薩はおそらく同一人物だといいます。
「弥勒」はサンスクリット語でMaitreyaで「慈愛」という意味です。当時、法を求めて西へ旅立った玄奘(三蔵法師)もこのことに気づき、「梅呾利耶(まいたりや)」と訂正しようとしましたが、「弥勒」という名前が定着していたため、変えられなかったといいます。
銭教授は、“紀元前1000年頃、つまり、釈迦如来が生まれる500年ほど前に、西アジア、北アフリカ、アナトリア半島、エジプトを含む広大な地域で、未来の救世主に対する信仰が広まっていた”と述べました。キリスト教における救世主メシア信仰、インドにおける弥勒菩薩信仰はすべてここから生まれています。
つまりこれらのことから、東洋の未来仏・弥勒菩薩と西洋の救世主・メシアは、同じ人物を指している可能性が高いです。
唐代末に実在したとされる伝説的な仏僧の布袋(ほてい)和尚は、「弥勒は真の弥勒にして分身千百億なり。時時(じじ)に時人に示すも時人(じじん)は自ら識らず)」という漢詩を残しました。もしかすると、救世主、弥勒菩薩は私たちの中にいる人かもしれません。その人は普通の人間のようにふるまっているため、誰もその正体に気づかないのかもしれません。
詳しくはEPOCH TVをご覧ください。
https://www.epochtimes.jp/2022/10/120430.html
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