これらの言葉は、とても聞き覚えがあるのではないでしょうか。優しく話したいのに、つい怒鳴ってしまうことはありませんか? 大切な人にこんなことを言われたら、どのような気持ちになるでしょうか? 一緒に想像してみてください。
「はやくご飯を作れ!」
「ちゃんと掃除しろよ!」
「なんで毎日洗濯しないの? 普通は毎日すべきでしょ?」
「テレビばかり見ないで、はやくお皿を洗って!」
パートナーから、このような偉そうな態度で話しかけられたら、どうでしょうか。家事や仕事を楽しくこなせますか?
「もう、ご飯を作ってるのに!」
「 “ちゃんと”ってどんな程度なの? もうやってるし!」
「普通は毎日やってるって? 自分のペースがあるんだからほっといて!」
「わかってる、このドラマを見てからお皿を洗おうと思ってたのに!」
こんなふうに怒ってしまいますよね? モチベーションが下がるだけでなく、機嫌も悪くなりますよね?
慰めや感謝の言葉を使うようにしましょう
このような言葉を言われて嫌になるのは、子供たちも同じです。
大人が見下したような命令口調で次々にあれやこれやと言うと当然怒ります。
上記の言葉を言われたときに感じたことをもう一度思い返してみてください。ネガティブな言葉の威力がきっと理解できると思います。ですから、多少なりとも… いいえ、確実に、子供の気持ちが十分にわかるはずです。
「今日の晩御飯もおいしかった」
「毎日の掃除ご苦労様」
「ふんわりきれいなバスタオルがいつでも使えるのは嬉しいね」
両親も子供も夫も妻も、ネガティブな言葉を言うのをやめて、慰めや感謝の言葉を使うようにすれば、きっと幸せになれます。
「明日も頑張ろう!」と思えれば、自然とモチベーションが上がり、気持ちも前向きになります。
子供の自己肯定感や達成感を高めるには、ポジティブなエネルギーに満ちた心が不可欠です。人間の心が満たされると、やりたくないことに直面しても「やってみてもいいかな」と思えるようになり、「気分転換」の寛容さを持つようになるのです。
言葉はまるで呪いのよう
言葉の力は、ネガティブな結果も、同様にポジティブな結果も生み出すことができます。ネガティブな言葉を言うのをやめれば、自己肯定感が向上できます。言葉は人を変えることができます。
いや、それ以上に効果があるかもしれません。教育経験や講演活動を通じて、言葉が人やその人の人生を形作ることができることに気づきました。
子供はとても純粋で、親の言葉を疑うこともなく、心の底から受け入れて吸収してしまいます。
この前、個別指導の塾で「私は勉強が苦手です」とよく言っていた生徒が、まるでこの言葉に合わせるように、成績が急落しました。
念のため、その生徒の母親と面談したところ、「この子は私と同じで、勉強が本当に苦手なんです」と母親は言い続けました。
その母親の「勉強が本当に苦手なんです」という言葉が、無意識のうちに子供の心に刷り込まれ、それに対応した現実も形成されたのです。
まるで呪いのようなものですね。
「何度も繰り返される言葉は現実となる」
繰り返される言葉は、人間の行動や考え、さらには外見や気質に強い影響を与えていきます。
自分の発言を聞くと、自分の心に影響を与える
コーチングの分野では、「オートクライン(autocrine)」という言葉がありますが、これは「自分の発言を聞くと、自分の心に影響を与える」という意味です。
親が子供に話している時、自分の耳や脳が自分の発言を再度確認するため、当然、話し手自身も影響を受けています。
「みんなあなたのことをバカだと思っている」こんなことを言ったら、子供もあなた自身も不安になります。
「こんな簡単なこともできないの?」そんなことを言うと、子供もあなたも無能になってしまいます。
「あんたは悪い子だ」と言うと、子供もあなた自身も悪人になってしまいます。
こうして、子供に繰り返しかけられたネガティブな一言一句は、親にも叩き込まれ、話し手が意識しなくても、ネガティブな情報を確かに受け取ってしまうのです。
そうならないように、普段からなるべくネガティブな言葉を使わないようにしましょう。
「呪いをやめた瞬間に、呪いは解ける」。
この文章は、「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」から抜粋しています。
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