中国 教育の歪みが若者を追い詰める

中国・北京で高校生が多数休学 過酷な学習環境

2025/09/24 更新: 2025/09/24

中国・北京の高校で、新学期開始直後にもかかわらず、多くの生徒がうつ症状や不安障害などの精神的問題を理由に休学していることが分かった。

現地の精神科医が公開した患者リストには、16歳から20歳の若者の名前が多数記載されており、大半が「うつ症状」「不眠」「登校への抵抗感」といった症状を訴えていた。

保護者からは「朝5時に起床し、夜10時に帰宅しても宿題が終わるのは深夜」「1日の睡眠時間は4時間程度」「クラスで心身に不調のない生徒は1割に満たない」といった証言が寄せられている。

専門家は、試験を重視する過酷な学習環境が生徒の精神的健康を損なっていると指摘している。

近年、中国の教育環境は悪化の一途をたどり、子どもたちは果てしない競争に巻き込まれている。その結果、心理的に追い詰められ、自ら命を絶つケースも少なくない。

青少年の心理問題に関する統計は極めて不十分で、中国共産党当局は実態を覆い隠している。昨年末、中共国家衛生健康委員会は「青少年のうつ症状の発症率は約2%」と発表したが、今年に医学雑誌で公表された大規模調査によれば、実際には23.3%に達していた。

しかも年齢が上がるほど深刻化し、高校生で特に顕著だという。調査はさらに、普通高校の生徒は受験競争の重圧に、職業高校の生徒は将来の就職不安にさらされ、いずれも深刻な心理的負担を抱えていると指摘している。

こうした背景には、試験漬けで思考力を奪い、学びを体制順応の道具にすり替える教育の在り方がある。そこでは心の成長が置き去りにされ、努力しても将来が開けないという絶望感が重なり、子どもたちの内面は確実に蝕まれている。

 

医師の診療画面に並ぶ患者名は10代後半が中心で、「うつ」「不眠」「不安」「学校嫌い」などの記録が並ぶ。(映像よりスクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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