現在では、祖父母と孫が一緒に住んでいない家庭が多くあります。しかし、実は、祖父母と孫の関係が良いと、家族全体に相互利益があることが研究で明らかになっています。
南オーストラリア大学の名誉教授であるマージョリー・エベック氏は、オーストラリア、シンガポール、香港にわたる世代間関係の研究で、多くのアジア文化において、祖父母が家庭生活に深く関わっていることがわかりました。
「祖父母は、通常、子供たちと一緒に住んでおり、孫の教育と成長に積極的な役割を果たしています」とエベック氏は言います。
これは間違いなく祖父母が子供の世話をすることを意味しますが、それはまた、祖父母の自己価値、社会的関係と健康レベルを高めることにつながり、彼らに大きな価値をもたらします。
「その見返りに、子供たちは祖父母との間に親密、かつ敬う関係を築くことができ、自分の家族、文化や物語についてもっと知る機会があります」 とエベック氏は言いました。
香港とシンガポールでは、親孝行や年長者を敬う教えが根強く残っています。
「そうすることで、祖父母はより強いアイデンティティと目的意識を持つことができるかもしれません。 世代間の交流が深まることで、祖父母の社会的なつながりも深まるのです」と述べています。
一方、高齢者の多くは、生活の必要性から家族と離れて老後を過ごし、その多くが老人ホームで過ごしています。
「その結果、孫と一緒に過ごす時間が少なくなり、孤独を感じることが多いのです」とエベック氏は言います。
このような祖父母の保育は今に始まったことではありませんが、女性の労働力の増加や育児費用の高騰など、さまざまな要因により、多くの祖父母が子どもの重要な保育者となっています」とエベック氏は言います。
オーストラリアで行われた閉経後の女性を対象とした先行研究では、週に1回孫の子守りをすることが認知症予防に役立つことがわかりました。これは、好奇心が旺盛な幼児と触れ合うことで、イメージ、計算、言語能力をつかさどる脳の神経細胞が活性化されるからです。
また、ベルリンで行われた70歳以上の500人以上を対象とした調査では、子どもの世話をする祖父母の寿命が延びていることがわかりました。
さらに、孫の世話をしている祖父母は、していない祖父母に比べ、20年間の死亡リスクが3分の1であることも明らかになっています。
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