有益な作用のある【クルクミン】6つの方法で効果倍増(2)抗うつ、抗がん

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クルクミンがうつ病を緩和する

初期の研究では、クルクミンが気分を高める効果も確認されており、うつ病対策に役立つ可能性が示唆されています。2017年に行われた6つの短期プラセボ対照臨床試験のメタ分析では、クルクミンは「うつ病患者において安全で忍容性があり有効」、「新しい抗うつ薬」として作用する可能性があると結論付けられており、そのうち3つの試験では有意な抗不安作用が確認されています。

2017年に《情緒障害学会誌》に掲載された論文によると、クルクミンのうつ病に対する効果を評価するためにオーストラリアで行われた研究では、大うつ病性障害と診断された123人が二重盲検無作為化試験を受けました。1つのグループにはクルクミンエキス250mg、1つのグループにはクルクミンエキス500mg、別のグループにはクルクミン250mgにサフラン15mg、4番目のグループにはプラセボが3ヶ月間投与されました。

その結果、プラセボと比較して、他の3つの治療群すべてで症状の改善が認められました。その中でクルクミンは非定型うつ病の患者さんに特に有効であり、クルクミンの投与量の違いによる効果の差は見られなかったことが注目されました。また、サフランは多くの研究で抗うつ作用が認められているため、治療群のひとつに加えられました。

また、他の研究で、クルクミンの抗炎症作用により、うつ病だけでなく、他の多くの精神疾患にも有効であることが示されています。

クルクミンの抗がん作用

神経保護効果に加え、クルクミンには強力な抗がん作用があり、化学療法など従来のがん治療法の効果を高めることが研究で明らかになっています。

例えば、2013年に《乳がん情報誌》に掲載された研究では、クルクミンが、腎臓や骨髄にダメージを与え、二次腫瘍の成長を引き起こす可能性のある抗がん剤、マイトマイシンCの副作用を、長期間の使用で軽減したことが示されています。またクルクミンには、薬の効果を高める作用もあるそうです。

また、化学療法を受けた慢性骨髄性白血病の患者でも、クルクミンを加えると、がん増殖因子が減少したそうです。放射線療法を受けた乳がん患者を用いた研究で、クルクミンの放射線療法に対する保護効果が実証されました。研究終了後、クルクミンを摂取している人の皮膚には、放射線によるダメージも少なくなっていました。

さらにクルクミンは、複数の細胞に影響を与え、がん細胞の増殖、複製、死滅のさまざまな作用機序を誘発することが分かっています。2010年のToxins誌の研究によると、クルクミンのこの多面的な効果により、大腸がん、膵臓がん、アミロイド変性疾患など、いくつかの異なるタイプのがんの治療に有用であることがわかりました。

クルクミンは、いくつかの異なるタイプのがんの治療に有用です。
miyazaki / PIXTA)

重要なのは、クルクミンがアポトーシス(細胞死)シグナル伝達経路を活性化し、細胞を自然な時間内に死滅させることが示されていることです。がん細胞が自然に死滅する能力を失うと、細胞が過剰に増殖し、最終的に腫瘍が形成される可能性があります。

先の研究で、がん細胞は炎症性環境で増殖することが明らかになっており、クルクミンは炎症性反応をいくつかのポイントでブロックし、体内の炎症性サイトカイン(細胞から分泌される低分子のタンパク質の相称)のレベルを低下させることができるといいます。

それだけではなく、クルクミンの抗炎症作用は、ある種の薬剤の作用に匹敵するものであることが分かっています。また、クルクミンには免疫力を高める働きがあり、初期のがん細胞を自然に探し出して破壊することができます。

(つづく)

オステオパシー医師兼作家。「Mercola.com」を創設。自然健康の分野で複数の賞を受賞。主なビジョンは、人々が健康を管理できるよう支援する貴重なリソースを提供することで、現代の健康パラダイムを変えること。