漢字の神奇と奥妙な生命
中国人が文書を敬愛することは天性となっています。普段から使った紙は、敬意を持って「敬紙亭」(場所の名前)で焼かなければならず、幼い頃から、父母に紙を踏みつけたり,その上に座ったりすることは神聖な文字を深く侮辱することだと言い聞かされてきました。
漢字はその源の演変と生命形態を持っており、勝手に変えてはいけません。甲骨文、金文、隷書から楷書に至るまで中国の文字は長い歴史を経過して、書き易く、読み易い文字となりました。
例えば「馬」という字は最初、象形文字を用いていたため、書く度に「馬」の様子を絵として書かなければいけないという欠点がありました。そこで古人は出来るだけ文字に意味をこめようとし、千年経過する間にそれを簡略化し、やがて今の文字の形が定まりました。これは一つの生命を持つ個体のようであり、歴代の文化の精華を汲み取り、演変し、そして広く世界に定着して伝わったのです。
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文章を書かれる方は日ごろよく耳にする言葉ではないでしょうか。その由来は唐の時代にさかのぼります。今回はあらためてこの言葉の意味を考えてみたいと思います。
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古代の中国人は名前とは別に雅号(文人・画家・書家などが、本名以外につける風雅な名)や字(あざな/成人男子と女子が実名以外につける名)がよく使われました。人々は尊重の意を込めて、相手の名前ではなく、雅号や字で呼びます。
一年の世相を表す「今年の漢字」が「戦」に決まった。惜敗した「安」との差はわずか0.09ポイントだった。「戦」が […]