下院エネルギー・商業委員会のキャシー・マクモリス・ロジャース委員長 (Photo by Kevin Dietsch/Getty Images)

米下院、中国向け戦略石油備蓄の輸出を阻止する法案可決

米議会下院は12日、米戦略石油備蓄(SPR)から放出された石油の中国への輸出を禁止する法案を331対97で可決した。すべての共和党員が賛成票を投じ、新議会における共和党の対中強硬姿勢が鮮明となった。

「米国の戦略的石油備蓄を中国から守る法案」は、エネルギー省が中国共産党の所有、支配、影響下にあるいかなる団体にSPRから原油などを販売することを禁止している。

法案は、バイデン政権が昨年4月、SPRから約100万バレルの石油を中国政府と密接な関係にあるユニペックに売却することを決定した後、共和党が提出した。共和党は米最大の競争相手が支配する企業に膨大なエネルギー資源を提供すべきではないと批判していた。

この法案を提出した下院エネルギー・商業委員会のキャシー・マクモリス・ロジャース委員長はバイデン政権が「地政学的に最も危険な敵である中国共産党の石油備蓄を積極的に強化している」と指摘。そうした行為は「国家安全保障に対する重大な脅威だ」と強調した。

モニカ・デ・ラ・クルス議員も法案を支持し「中国に責任を取らせ、米国を世界のエネルギーリーダーとして再度位置づけするための重要なステップだ」と述べた。

いっぽう、エネルギー委員会の民主党筆頭委員で前議長のフランク・パローン議員は「昨年米国が中国に送った石油のわずか2パーセントに過ぎない」とした上で、ロシアや北朝鮮など米国の他の敵対的国家に対する禁止を掲げなければ「何の成果もない」と法案に異議を唱えた。

同法案は民主党が多数派を占める上院で可決するかどうかは不透明だ。

下院では11日にも、中国に限らずロシア、イラン、北朝鮮といった敵対的国家への石油備蓄の販売禁止を定める法案が民主党のクリッシー・ホーラハン議員ら超党派議員より発表されている。

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