開始前からすでにフリーランスなどを中心に反対運動が巻きおこっているインボイス制度。請求書などを発行しない一般人には直接関係がなさそうに思われるが、実は月々の電気代が増えることになるかもしれない。
インボイス制度の内容は、事業者が取引をする場合、事業者番号を明記した適格請求書(インボイス)を使用し、それを保存するというものだが、インボイス発行するためには消費税納税をしなければならない。消費税納税しない場合、取り引き先の仕入税額控除がなくなるなど、非常に業務に大きな影響を与える施策が含まれており、物議を醸していた。
実は私たちが支払う電気代にも影響を及ぼす可能性があることがわかった
電気代があがる
現在、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギー発電(再エネ発電)に対して、国はFIT制度を推進し、家庭の太陽光発電システムなどで発電した電気を固定価格で買い取ることを電力会社に義務付けている。電気を販売する小売電気事業者の登録件数は738件(2022年6月末時点)となっている。
問題はその取引の際、生じる消費税を誰が支払うかだ。
小規模な太陽光発電設備で余剰電力を電力会社に販売している売電業者の多くは、課税売上高が1000万円以下の免税事業者と呼ばれる事業者で、現在は消費税納税を免除されている。一方、電力会社など、買い取る側の事業者も、買い取った電気にかかる消費税については現在、仕入れ税額控除がされている。
しかしインボイス制度の導入にともなって、この免税業者から電気を買い取った際、生じた消費税は仕入額控除がなくなり、電力会社には新たな消費税負担が生じる。
ITmedhiaによると、この新たな負担増に関して、資源エネルギー庁は、有識者会議の提案により、一般家庭の毎月の電気料金に含まれる「再エネ賦課金」で賄う方針を示しているようだ。
つまり私たちの電気代に上乗せされるかもしれないのだ。
同庁の井上博雄省エネ・再エネ部長は2月17日の衆院財務金融委員会で、2023年度の損失の補てん額が1年で116億円程度であると明らかにした。
また同委員会で、その額は同制度にともなう「経過措置」がなくなる7年後以降、年間580億円にも上るという。
日本共産党の田村貴昭議員は「FIT制度だけこういう特例が与えられる。国民は納得しない」と述べた。
元衆議院議員で現在、政治団体「新党くにもり」共同代表の税理士の安藤ひろし氏も自身のYou Tubeチャンネルで「国民生活にものすごい打撃を与えるとんでもない制度だ」と断じている。
この案は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則等の一部を改正する省令案等」として、3月10日までパブリック・コメント(意見公募手続)を募集している。
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