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携帯電話は便座の10倍汚れている

トイレでの携帯使用による6つの健康リスク

携帯電話への依存度が高くなり、トイレに持ち込むのが快適になった人も多いのではないでしょうか。しかし、トイレで携帯電話を使用することは、私たちの健康を危険にさらす可能性があります。

健康専門家らは、トイレでの携帯電話の使用は不衛生なだけでなく、腸、心血管・脳血管機能、目、首、背骨の健康に影響を与える可能性があると警告しています。

紫外線殺菌技術製品を製造するビオガード社が2021年に行った消費者調査によって、年齢や性別に関係なく、1,100人以上の回答者の73%が、トイレや小便器に立ったまま携帯電話を使用していることを認めていることがわかりました。これは、18歳から29歳の若年層では93%に増加しています。

専門誌「GERMS」に掲載された研究では、高校生(16〜18歳)の携帯電話に、病原性のある細菌が多く付着していることが明らかになりました。

研究者らは、携帯電話1台あたり17,000以上の細菌の遺伝子コピーを発見し、性別や携帯電話の種類による差はなかったと述べています。

アリゾナ大学の科学者らは、携帯電話にほとんどの便座の10倍もの細菌が付着していることを明らかにしました。

トイレでの携帯電話の使用には、次の6つの潜在的な健康上のリスクがあります。

1. 細菌とウイルスへの曝露

トイレは、溶連菌、大腸菌、サルモネラ菌、カビ、ノロウイルスなど、さまざまな病原菌やウィルスの温床となる場所です。トイレで携帯電話を使ったりトイレを流したりすると、これらの菌やウイルスが携帯電話の表面に付着します。

手を洗った後でも、下痢や喘息などの病気を引き起こす可能性のある病原菌で携帯電話が汚染される可能性があります。

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院とロンドン大学クイーン・メアリー校の研究者は、英国内の12都市で携帯電話と手の両方から採取した390サンプルを分析し、存在する細菌を分析しました。

その結果、95%の人が「できるだけ石鹸で手を洗っている」と回答したにもかかわらず、携帯電話の92%、参加者の手の82%に細菌が含まれていることが判明しました。

さらに、携帯電話の16%と手の16%が大腸菌に汚染されていることも判明しました。大腸菌は感染した便に由来する細菌で、胃腸に不快感を与えるだけでなく、致命的な食中毒を引き起こす可能性もあります。

台中市立慈済病院の胸部・重症医療専門医であるホアン・スアン氏は、通話やゲーム、ソーシャルメディアの閲覧のために携帯電話を使用すると、温度が43℃に達するため、細菌の発生を助長すると懸念を示しています。

細菌やウイルスを除去するには、定期的に携帯電話を消毒し、トイレを使用した後は十分に手を洗うことが最も効果的な方法です。

しかし、病原体への曝露を防ぐ最善の方法は、携帯電話をトイレに持ち込まないことです。

2. めまい・腹部膨満感・吐き気

トイレに座って携帯電話を使用している人は、無意識のうちにトイレでの滞在時間が長くなり、血液が下に流れるため、脳への血液供給が不足する可能性があります。長時間座っていて急に立ち上がると、めまいや吐き気がすることがあります。

中国重慶市では、携帯電話でゲームをしながら30分間トイレでしゃがんでいた24歳の男性が、その後、床に倒れているのが発見されました

地元の救急医は、トイレで長時間しゃがんでいたことで、血液の循環が悪くなり、失神する可能性が高まったとしたほか、換気のない狭い密室トイレにいたことも原因だと述べています。

3. 便秘と痔

トイレに長時間座ることや、慢性的な便秘、排便時の力みなどは、血流を妨げて血管を拡張させ、血管拡張を引き起こす可能性があります。

血管拡張(血管弛緩)は、特に直腸下部の血管が拡張すると痔になることがあります。

ピッツバーグ大学の消化器・肝臓・栄養学部門の精神科医であるグレゴリー・ソーケルソン博士は、トイレに座る時間を10~15分未満に制限するのが、男性の健康にとってベストであると語っています。

ソーケルソン氏は、段階的でリズミカルな収縮を伴う腸の蠕動波によって便が直腸に移動し、便意を刺激すると説明しています。その時に便を出すことができないと、逆蠕動運動が起こり、大腸に便が逆流することがあります。そうすると便秘になり、後から大変になります。トイレを利用したい気持ちが収まったなら、座って待つのではなくトイレを出ることをソーケルソン氏は勧めています。

4. 心血管系と脳血管系の機能

台湾のチーシン・クリニック(启新诊所)は、排便時には腹壁と横隔膜の筋肉が強く収縮し、腹圧が上昇すると記事で述べています。

腹圧の上昇は、動脈血圧や心筋の酸素消費量を増加させ、狭心症を誘発したり、心筋梗塞のリスクを高めたり、心臓の不整脈を生じさせたりする可能性があります。重症化すると、脳出血や突然死に至ることもあります。

中高年の方は血管調節反応が低下すると、トイレに長時間座ってから立ち上がるときに、一時的に脳虚血や吐き気、脳血管障害などを起こしやすくなる場合があるので、同クリニックでは注意を呼びかけています。虚血性脳梗塞の前兆である可能性もあるため、注意が必要です。

5. 頚部・腰部椎間板ヘルニア

脊椎疾患の研究・予防・治療分野の専門機関であるEUROSPINEは、人の頭は約5kgにもなるため、携帯電話などの電子機器を見下ろすことで首に負担がかかり、肩や首の痛みや凝り、頭痛を引き起こし、時間の経過と共に深刻化することがあると指摘しています。

台湾のチーシン・クリニックは、トイレに座るとき、特にしゃがむとき、人間の体は無意識に前傾姿勢になることが多く、腰椎の支持力が足りず本来の湾曲が変わってしまうことを強調しました。椎間板への重力が大きくなると、腰椎椎間板ヘルニアのリスクが高まります。

トイレに座って携帯電話を長時間使っていると、やがて頸椎の前方座屈がずれてきます。時間の経過とともに、このずれが頸椎椎間板ヘルニアなどの症状を引き起こす可能性があります。

6. ドライアイ症候群

トイレに座ってスマホ画面を凝視したり、コンピューターゲームを長時間プレイしたりすると、眼表面の乾燥が進み、ドライアイ疾患の発症を促進する可能性があります。

眼科学専門誌「Clinical Ophthalmology」に掲載された2021年の研究では、デジタルスクリーンの使用が続くと、まばたきが不完全になり、回数も低下するというエビデンスが発見されました。

電子機器使用中のまばたき回数の減少は、ドライアイにつながります。ドライアイ疾患は、多くの場合、火照り、光に対する感度、視界のぼやけをもたらし、最終的にはより深刻な視力問題につながり、生活の質に悪影響を及ぼすことになります。

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