聞こえない音が心を乱す?  超低周波音の影響

私たちの日常生活の環境には、人には聞こえないものの感じ取ることができる超低周波音が存在し、人を落ち着かなくさせたり、イライラさせたりすることがあります。もしそのような症状があるにもかかわらず原因が分からない場合、この音が影響している可能性があります。

超低周波音とは、周波数が20ヘルツ(Hz)未満の音波を指し、人間の耳では通常聞き取ることができません。動物の中には、この音を使ってコミュニケーションを取るものもあれば、逆に避けるものもいます。

超低周波音は、暴風雨のような自然現象から発生する場合もあれば、交通騒音、換気設備、工業用機械など、人間の活動によって発生する場合もあります。

学術誌『Frontiers in Behavioral Neuroscience』に最近掲載された研究によると、人は超低周波音を直接知覚することはできませんが、それに反応していることが分かりました。超低周波音は、苛立ちの増加や、コルチゾール(副腎から分泌される「ストレスホルモン」)レベルの上昇と関連しているとされています。

この研究の責任著者であり、MacEwan Universityの教授であるロドニー・シュマルツ氏は、「多くの人が気づかないうちに超低周波音にさらされています。私たちの研究は、短時間の暴露であっても感情を変化させ、コルチゾール分泌を増加させる可能性があることを示しており、現実世界で超低周波音がどのように人々に影響を与えているのかを理解する重要性を浮き彫りにしています」と述べました。

シュマルツ氏は、超低周波音は日常環境の至る所に存在すると説明しています。例えば、「幽霊が出る」と言われる古い建物を訪れた際、気分が不安定になったり、落ち着かなくなったりすることがあります。しかし、目にも耳にも異常は感じられません。これは超低周波音が影響している可能性があるのです。

古い建物には超低周波音が存在している可能性が高く、特に地下室では、老朽化した配管や換気システムが低周波振動を発生させることがあります。

古い建物のイラスト。(Shutterstock)
古い建物のイメージ図。(Shutterstock)

 

研究で示された 身体は超低周波音に反応する

この研究では、研究チームは36人の参加者を募集し、1人ずつ部屋に座らせたうえで、リラックスできる音楽または不快感を与える音楽を聴かせました。そのうち半数の参加者がいた部屋には隠し型サブウーファーが設置されており、18ヘルツの超低周波音が同時に再生されていました。

音楽を聴いた後、参加者たちは自分の感情、音楽に対する印象、さらに超低周波音があったと思うかどうかについて答えました。また、研究者が分析するため、聴取前後に唾液サンプルも提供しました。

研究者たちは、超低周波音を聴いた参加者では、唾液中のコルチゾール値が高くなる傾向が見られたことを確認しました。これらの参加者は、イライラしやすくなり、興味や関心が低下し、音楽がより悲しく感じられたとも答えています。しかし、自分が超低周波音を聴いていることには気づいていませんでした。

シュマルツ氏は、「この研究は、たとえ私たちが意識的に超低周波音を聞き取れなくても、身体はそれに反応していることを示しています」と語りました。

この研究の筆頭著者であり、University of Albertaの博士課程学生ケール・スキャタティ氏は、「苛立ちの感情とコルチゾール値の上昇には自然な関連があります。人がイライラしたりストレスを感じたりすると、コルチゾール値が上昇する傾向があり、これは身体の正常なストレス反応の一部です」と述べています。

この研究は、人間が超低周波音を感知しているにもかかわらず、それを認識できていないことを示しています。しかし、その仕組みはまだ明らかになっていません。また、この研究結果は、長期間超低周波音にさらされることで、コルチゾール値の上昇や気分の落ち込み、苛立ちなどが持続し、健康に影響を及ぼす可能性について検討する必要があることも示唆しています。

研究者たちは、この研究によって超低周波音の中程度から顕著な影響を確認できたとしており、その中には本研究の主要な発見も含まれています。しかし、超低周波音が人間の感情や行動にどのような影響を与えるのかを十分に理解するには、より多くの研究と、さらに大規模かつ多様な参加者サンプルが必要です。

スキャタティ氏は、「この研究は、多くの意味で超低周波音が人間に与える影響を理解するための第一歩です」と語っています。ただし、今回は特定の一つの周波数しか検証しておらず、他の周波数やその組み合わせによって異なる影響が生じる可能性があり、さらなる研究が待たれています。

音による影響といえば、聞こえる音や上述の聞こえない超低周波音以外にも、頭の中で絶えず声が聞こえ、耐え難く感じる人もいます。これについて、心理療法士が改善方法を提案しており、頭の中の声を静める助けになるとしています。

(翻訳編集 解問)

陳俊村