現在、中国共産党(中共)の地方政府が抱える巨額の債務問題が注目を集めている。資金不足により地方政府の運営が難しくなり、多くの地方公務員が給料削減や失業の危機に直面している。写真は中国の建設現場で働く従業員(Getty Images)
【浄園財経】深刻な中国地方政府の債務危機(1) 

中国地方政府の巨額の債務はどのようにして蓄積されたのか

中国は世界第二の経済大国と称され、世界最高のオフィスビルの建設能力も持っている。しかし、パンデミック以降、中国経済は最悪の状態に陥り、更に悪化の兆しを見せている。

 

現在、中国共産党(中共)の地方政府が抱える巨額の債務問題が注目を集めている。資金不足により地方政府の運営が難しくなり、多くの地方公務員が給料削減や失業の危機に直面している。

まず、中共の地方政府の債務危機がどれほど深刻な状態にあるのかを見てみよう。

 

「ブルームバーグ」の調査によると、5月9~15日にかけて行われた53人の経済学者、マネージャー、金融機関のストラテジストへの調査結果では、中国地方政府の債務問題が今年のアジア最大の金融リスクと見なされている。

 

S&Pグローバルの格付けによれば、2022年末までに中国の地方政府が発行した都市投資債券の総額は6兆5千億ドル(約910兆円)を超えている。一方、ゴールドマン・サックスによると、政府公式の借入、都市投資プラットフォーム、政策金融機関の保有する債務を含めると、総額は約23兆ドル(約3220兆円)に達する。政府の債務残高はGDPの126%になり、国際的な警戒線は60%で、中国の半数以上の省がこの警戒線を超えている。

 

では、中国地方政府の巨額の債務はどのようにして蓄積されたのだろうか? 主な原因は次の通りである。

 

最初の理由は、1994年に中国が分税制を導入したことだ。これにより、中央政府と地方政府が税収を比率に基づいて分け合い、中央が55%、地方が45%を取得することになった。しかし、地方政府の財政支出責任は中央よりも大きく、地方財政の収支バランスを取ることが難しくなった。

巨額の債務を生み出した大きな要因は、2008年に中国が4兆元(約77兆6千億円)をインフラ建設の経済刺激策に注ぎ込み、中央政府がその一部しか出さず、地方政府が大量の融資を行ったことである。ゴールドマン・サックスの4月の推計によれば、2008~22年の間に地方政府の債務は11.14倍に急増した。

 

次に、地方の財政プロジェクトの効率は低く、公務員の大規模な汚職も問題となっている。

 

2023年2月に報道されたところによれば、河南省商丘市の指導者は1700億元(約3兆3千億円)以上を高速道路、空港、航空港の建設に投じたが、現在では資金チェーンが断絶し、プロジェクトが中断した。高速道路や航空港で人や飛行機の姿を見ることはない。

 

中国農業部のデータによれば、2019年6月30日までに全国の町政府の総債務が9千億元(約17兆4600億円)に達し、それらのほとんどは地方指導者が「農村振興」プロジェクトのための借入金だった。しかし、これらの債務のうち、何パーセントが実際に建設に使われたのだろうか? 報告によると、北京市豐台区の長辛店鎮辛莊村の村長、石鳳剛氏は8年間で5億8千元を横領したとされている。

 

更に、パンデミックにより3年間ゼロコロナ政策を続けたため、地方政府は借入を強いられている。

 

地方政府の年間予算報告によると、中国の31省市区は2022年だけで新型コロナウイルスの防疫対策に3520億元(約6兆8千億円)以上を費やした。また、経済刺激策として減税、料金引き下げ、税金返還、税金軽減、費用緩和などを行った結果、4兆2千億元(約81兆4800億円)もの大きな出費があった。これにより地方政府の収入は大幅に減少し、収支バランスが崩れ、結果的に借金を重ねて運営を続ける状況となっている。

 

 (続く)

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