専門家は中国の現状と1990年代のバブル崩壊以降の日本の姿を重ね合わせ、中国経済が今後、日本式の「失われた30年」に突入すると指摘している(余鋼/大紀元)

中国「失われた30年」に突入か 日本バブル崩壊後との「類似点がある」=専門家

経済成長が鈍化し、デフレの脅威に直面している中国では、ここ数年、住宅市場は暴落を繰り返し、デベロッパーは負債を抱えて契約不履行に陥っているほか、人口の減少が労働需給の引き締まりを加速させるとの懸念がみられる。

こうしたなか、専門家は中国の現状と1990年代のバブル崩壊以降の日本の姿を重ね合わせ、中国経済が今後、日本式の「失われた30年」に突入すると指摘している。

日本はバブル崩壊後の90年代初頭から「失われた30年」に突入。30年間は高度経済成長期や安定成長期のような経済成長がみられず、経済の低迷や景気の横ばいが続いている。

昨年、フランスの投資銀行ナティクシスが中国の現状と日本の経済状況を比較し、「中国の住宅問題は1980年代の日本の不動産バブルと似ている」と指摘。

グロウ・インベストメント・グループのチーフエコノミスト、洪灝(ホン・ハオ)氏も最近、同様の見解を示した。「中国と日本の歴史の比較」と題された報告書の中で、洪氏は30年前の日本と中国には顕著な類似点があると説明した。

洪氏は、バブル崩壊後の90年代初頭と2023年の中国の民間負債対GDP比を比較し、中国の民間負債比率は現在GDP比の約150%で、1993年の日本の不動産バブル崩壊時の水準に非常に近いと指摘。

また報告書は中国の民間部門によるレバレッジの拡大スピードが、当時の日本で起こったことと「驚くほど似ている」と述べた。

洪氏は、中国市場では悲観論が広がっており、家賃の上昇は住宅需要が完全に消滅したわけではないことを示唆しているが、長期的に見れば「状況はより複雑だ」と警告。中国社会全体で現状の打破に望む必要がある重要な変曲点だと述べた。

中国共産党は、経済成長およびナショナリズムを「一党支配の正統性」と結び付けてきたため、顕著な経済低迷は「一党支配の正統性」の喪失に直結しかねないという弱みを持っている。 

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