米国下院の対中共特別委員会は中国のバイオテクノロジー企業にも制裁を課すべきだと進言した。資料写真(IYO/PIXTA)

米下院特別委、中国バイオ企業への制裁求める 軍民融合技術に警戒感

米下院の対中共特別委員会はこのほど、米国防総省の「中国軍事企業」リストに中国のバイオテクノロジー企業を追加すべきとの要請をバイデン政権に行なった。中国共産党体制下の軍民融合戦略を念頭に、生物化学技術の悪用に懸念を示した。

中国共産党を名指しした米下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」で共同委員長を務めるマイク・ギャラガー議員(共和)とラジャ・クリシュナムルティ議員(民主)は現地時間3月29日、ロイド・オースティン米国防長官に書簡を送った。

両氏は書簡の中で、「中国のバイオテクノロジー企業が中国共産党の軍民融合戦略に基づき、中国軍の軍事力強化に貢献する可能性がある」と警告した。

書簡で言及された中国企業はMGIグループ、Complete Genomics、Innomics、STOmics,、Origincel、Nanjing Vazyme Biotech Co、Axbioの7社だ。

半導体やゲノム編集、人工知能(AI)といった最先端技術を軍事技術に転用することで軍事力を強化するのが中国共産党が主導する軍民融合の目標だ。

これと関連して、米国務省は「中国は自らの目標を達成するために違法な手段まで使っている」とし、「これには米国の企業、研究機関などから先端技術を盗む行為も含まれる」と述べた。

その上で、「米国の先端技術が中国軍の近代化に意図せず貢献していることを知らなければならない」と伝えた。

両議員は書簡で「中国共産党は『戦争に勝つためにはバイオテクノロジー分野で優位に立つ必要がある』との認識のもと、自国の企業を支援している。米国はこれに対応するため、該当企業を制裁リストに追加しなければならない」と力説した。

また、「中国の軍民融合の最前線にいる別の企業があるかどうかを把握するための措置が必要だ」と付け加えた。

米国防総省は2020年6月から中国企業に対して制裁を課した。同年10月には遺伝子分析を行うBGIグループ、ドローンメーカーのDJIテクノロジーなどの中国企業を制裁リストに載せた。

これに加え、中国共産党と深い関係がある中国企業7社を制裁リストに追加すべきだというのが書簡の主な内容だ。

両議員は「中でもOrigincelは中国共産党の統一戦線工作に深く関与している」と伝えた。

中国共産党は統一戦線工作を通じて海外にある企業や機関、団体などをコントロールし、機密情報を入手したり、反体制派を弾圧したりしている。

ギャラガー委員長は「中国共産党の統一戦線工作、影響力工作がアメリカで行われていることを理解しなければならない。それはまさに今、ここで私たちを脅かしている」と警告した。

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