2023年3月23日、TikTokの最高経営責任者(CEO)周受資(Shouzi Chew)(一番左)は、アメリカ連邦議会下院の聴聞会に出席した。彼の背後には、Dean NascaとMichelle Nascaの夫婦がおり、彼らは16歳だった息子Chase Nascaの死がTikTokとその親会社ByteDanceと関連があるとして、訴訟を起こしている。(Chip Somodevilla/Getty Images)

TikTokの売却拒否 アメリカでの閉鎖の可能性:ByteDanceの戦略分析

中国のByteDance社は、法的な問題が解決されない場合、アメリカ市場でのTikTokの運営を停止する可能性はあるが、アプリの売却は考えていない。TikTokはアメリカの法律に挑戦する姿勢を見せ、その中核技術であるアルゴリズムの保持を優先している。

4月25日、ロイター通信が報じたところによると、中国ByteDance社は、法的な問題が解決されない場合、アメリカ市場でのTikTokの運営を停止する可能性はあるが、売却の意向はないという。この情報は複数の関係者からのものだ。

情報源によれば、TikTokを動かす上で欠かせないアルゴリズムはByteDanceの中核技術であり、アルゴリズムを含むアプリの売却は想定しにくい。TikTokはByteDanceの全収入や日々のアクティブユーザー数の占める割合もそれほど高くないため、最悪のシナリオとしてアメリカ市場からの撤退も選択肢に含めつつ、アメリカの買い手への売却は考えていないとのことだ。

情報源によると、もしTikTokが閉鎖されても、ByteDance社には限定的な影響しかなく、同社が重要な技術を放棄する必要はないとの見方が示されている。これらの情報は匿名の情報源からのもので、詳細は明らかではない。

データセキュリティとアメリカの規制に対するTikTokの対応

ByteDance社は公式なコメントは避けているが、自社のニュースプラットフォーム「今日頭条」を通じて声明を出し、TikTokの売却計画はないと断言している。これは、The Informationの記事に対する返答だ。

TikTokの最高経営責任者(CEO)である周受資氏は、法的な勝訴に自信を持ち、バイデン大統領が署名した法案の施行を妨げる可能性のある動画をプラットフォームで公開した。彼はさらに、TikTokがアメリカの価値と市民の権利を守る役割を果たしていると述べ、その道徳的な優位性を強調した。

一方で、中国共産党の文化大革命を経験したアメリカ人の中国系市民、Xi Van Fleet氏は、周CEOのコメントに対して皮肉を込めた見方を示し、周CEOが中国版のTikTokであるDouyin(抖音)での自由な発言を習近平に要求することはないだろうと述べている。

「The Politico」の報道によると、議会スタッフ3人が証言したところによれば、中国共産党の大使館がアメリカのTikTokに関する法案に影響を与えようとロビー活動を行っている。アメリカの上院は、中国共産党によるアメリカ人のデータ取得のリスクを背景に、TikTokの売却を含む法案を圧倒的多数で通過した。

バイデン大統領が署名したこの法案により、TikTokの売却期限は2025年1月19日に設定されているが、次期大統領のプロセスが適切に進んでいると判断すれば、期限の延長もあると考えられる。

ByteDance社は自社の財務状況や各部門の詳細について公開していないが、情報源によると、収益の大半は中国国内で生み出されており、特にDouyinをはじめとするアプリケーションからの収入が中心のようだ。

2023年におけるアメリカ市場でのTikTokの総収入は、全体の約25%及ぶとの報道がある。

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