【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。
命を守る知恵

インフルエンザは命に関わることも!ハイリスク群は特に注意を

台湾の女性芸能人、ビックスターのバービィー・スー(徐熙媛)さんは、48歳でインフルエンザによる肺炎の合併症で亡くなりました。インフルエンザは一般的な風邪と似た症状が多いものの、一部の人にとっては命を脅かす“見えない殺し屋”となる可能性があります。たとえ若者であっても、健康管理を怠ると深刻なリスクに直面することがあります。

バービィー・スーさんは生前、癲癇、心臓病、喘息などの慢性疾患を患っており、これらの病状がインフルエンザに感染した後、急速に悪化し、突然の死に至りました。この記事では、「四つの側面」の視点と理念を通じて、正しい予防方法を見つけ、同様の悲劇の発生を減らす手助けをします。
 

ハイリスク群

免疫システムが弱い高齢者や子供だけでなく、以下のような若年層もインフルエンザが重症化するリスクが高いため、特に注意が必要です。

喘息や慢性肺疾患のある患者:

長期的に喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患っている人や喫煙習慣のある人は、感染後に深刻な呼吸困難や肺炎を引き起こしやすくなります。

癲癇や神経系疾患のある患者:

インフルエンザは脳炎を引き起こしたり、癲癇発作を誘発したりすることがあります。

心血管疾患の患者:

インフルエンザウイルスの感染は心筋炎や不整脈を引き起こし、心血管の健康に重大な脅威を与える可能性があります。研究によると、インフルエンザ感染は心不全患者の罹患率と死亡率の増加と関連があることが分かっています。

肥満の人:

肥満は体の免疫力を弱め、インフルエンザに感染した後、病状が悪化しやすく、合併症を引き起こす可能性があります。

糖尿病患者:

このような人々は免疫反応が低いため、インフルエンザに感染すると細菌性肺炎や敗血症を引き起こしやすくなります。

免疫機能が低下している人:

長期間免疫抑制剤を服用している人、臓器移植を受けた人、または自己免疫疾患を患っている人は、重篤な合併症を引き起こしやすい傾向があります。

高ストレスや睡眠不足の人:

過度なストレスや睡眠不足は免疫力を低下させ、ウイルスや細菌の侵入を引き起こしやすくなります。

もしあなたやご家族が上記の条件に当てはまる場合は、警戒を怠らず、予防策を強化することが重要です。以下では、身体構造、化学的側面、エネルギー的側面、そして心の健康の4つの次元から、これらのリスクを効果的に減らす方法について説明します。

 

構造的側面

私たちの身体の構造を守ることは非常に重要です。身体の構造はまるで防御の壁のようなもので、その壁にひびが入ると、細菌やウイルスが隙間をついて侵入してきます。

ワクチン:

ワクチン接種は壁を修復する重要な手段であり、特に高リスクグループにとっては、最も簡単で効果的な予防策です。ただし、毎年定期的に予防接種を受けることが、感染リスクを効果的に低減するために必要です。ただし、ワクチンに対してアレルギー反応があるなど、特別な状況がある場合は、別途考慮する必要があります。

呼吸器官の保護:

日常的な予防も非常に重要です。マスクを着用すること、長時間閉ざされた空間にいることを避けること、手を頻繁に洗うこと、そして手で目をこすったり鼻を触ったりしないことで、ウイルスが体内に侵入する確率を効果的に減少させることができます。

栄養補助食品:

バランスの取れた食事は免疫力を高めるのに役立ちます。特にビタミンC、ビタミンD、亜鉛などの栄養素を補充することは、体がより強固な防御構造を作り上げる手助けとなります。推奨される食品にはオレンジ、キウイ、ナッツ、サーモンなどがあります。これらは免疫力を高めるだけでなく、体がウイルスと戦う能力を強化します。

 

化学的側面

私たちの体内の化学的環境は、適切に機能する実験室のようなもので、体内のバランスを維持し、免疫システムが効果的な防御反応を行えるように確保しています。

血糖と代謝機能の安定:

血糖の安定は免疫システムにとって非常に重要です。糖分の多い食事は免疫反応を低下させるため、甘い食べ物の摂取を適量に抑え、過度に加工された食品を避けることが推奨されます。

アメリカ合衆国の国立健康栄養調査(NHANES)111に関連する死亡コホートデータの分析によると、添加糖や砂糖入り飲料の摂取は高血圧、脳卒中、冠動脈性心疾患、血脂異常を引き起こし、それにより死亡リスクを高める可能性があることが示されています。

抗酸化物質の摂取:

緑の野菜やブルーベリーなどの抗酸化食品を多く摂取することで、炎症反応を減少させることができます。

炎症の原因を減らす:

不健康な脂肪が多く含まれている食品の摂取を減らすことが重要です。

 

エネルギー的側面

中医学では、人体の免疫力は「正気」(体の正のエネルギー)から来ていると考えられています。正気が不足すると、ウイルスが隙をついて侵入しやすくなります。睡眠を確保すること、呼吸訓練、運動習慣、そして中医の調整は、エネルギーを効果的に高める方法として有効です。

高品質な睡眠は正気を維持するための重要な基盤であり、正気を修復するための鍵です。中医学の観点から見ると、毎晩6~8時間の質の高い睡眠は、内臓の修復と調整を助け、肝臓を養い血を守り、正気を高めることができます。常に夜遅くまで起きていることは、脾胃の機能を損ない、免疫力を低下させる原因となります。

実用的なヒント

足湯

就寝前に温水で足を20分間浸すことが有効です。水に生姜のスライスを加えると、神経をリラックスさせ、気血の循環を改善し、睡眠の質を向上させる効果があります。

呼吸法の訓練:

腹式呼吸法を試してみましょう。毎朝または寝る前に5~10分間腹式呼吸を行うことで、気血を調整し、体内の濁気を排除するのに役立ちます。方法は、吸気時に腹部をゆっくり膨らませ、呼気時に腹部をゆっくり引っ込ませることです。深呼吸のトレーニングは、肺を十分に拡張させ、気血の流れを促進し、免疫システムの活力を維持するのに役立ちます。

灸:

足三里や関元にお灸を行うことで、体の機能を強化し、病気に対する抵抗力を高めることができます。中医学では、経絡は体内のエネルギーが流れる通路であり、内臓は経絡を通じて体のさまざまな部分と繋がっています。経絡上の特定の場所を「ツボ」と呼び、鍼灸やお灸などでこれらのツボを刺激することで、対応する臓器の病気を治療できます。お灸は中国から日本に伝わり、日本の戦国時代の武将たちは健康維持のためにしばしばお灸を行っていました。

足三里(大紀元製図)
関元のツボ (健康1+1からの提供)

     

適度な運動:

運動は体内の気と血の流れを十分に循環させることができます。中医学では「動けば陽が生まれる」と考えられており、適度な運動は体内に熱を生み出し、陽を活性化させ、血液の流れを促進します。太極拳、八段錦、気功などの緩やかで連続的な運動方法を試してみましょう。これらの運動は呼吸を調整し、筋肉をほぐし、血行を促進し、体内の陽を強化することができます。陽気とは体内で温暖、推進、保護などの役割を持つエネルギーを指します。

また、毎週3~5回の速歩きやジョギングを行うことで、心肺機能を効果的に向上させ、免疫力を強化することができます。

中薬調整:

中医学では、正気を補うことが免疫機能を強化し、体の健康を維持するために非常に重要だと考えられています。

いくつかの中薬は正気を養うことができます。例えば、黄耆(オウギ)は気を補い、脾を強化し、免疫力を高める効果があります。また、抗老化の名薬のいくつかは黄耆エキスから作られています。研究によると、黄耆の最も豊富な活性成分である黄耆多糖は、抗ウイルス、抗腫瘍、免疫力強化などの多くの効果を持っています。

党参(トウジン)は、気を補い、血を養う(エネルギーと栄養を補充する)、疲労を回復させ、身体の抵抗力を高める作用があります。研究によると、党参に含まれるポリガラクツ糖は、腫瘍を持つマウスの体液免疫と細胞免疫を顕著に強化し、マウスの腫瘍の成長を効果的に抑制することができます。

玉屏風散は、黄耆、防風、白朮(ハクジュツ)から成る古典的な抗インフルエンザ中薬方剤で、インフルエンザのピーク時に予防薬として使用できます。研究により、玉屏風散の主要成分が、インフルエンザ感染によって引き起こされる炎症に対して顕著な抑制作用を示し、インフルエンザの予防と治療に効果があることが確認されています。

中薬を服用する前には、必ず専門の中医学の医師に相談することが重要です。人それぞれ体質が異なるため、中薬の選択や投与量は個々の状況に応じて調整する必要があります。

 

精神的側面

中医学では「心は体の君主である」と考えられています。つまり、心の健康が体全体の運行状態を決定すると言われています。過度なストレスや長期間の抑鬱状態が続くと、免疫システムは内面的な消耗により次第に崩壊し、体は病気にかかりやすくなります。したがって、自己修養や精神的な解放、適切に執着を手放すことが心の健康を守るための鍵となります。

上記で言及された薬草は、聞き慣れないかもしれませんが、実際には多くが健康食品店やアジアの雑貨店で購入できます。ただし、個々の状況は異なるため、具体的な治療法については専門の医師に相談することをお勧めします。

(翻訳 里見雨禾)

慢性的な精神、行動、身体の病気を対象とした統合医療医。中国医学の医師。精神科認定医。統合医療の楊研究所とアメリカ臨床鍼灸研究所の創設者兼ニューヨーク北部医療センターのCEO。『Integrative Psychiatry(統合精神医学)』、『Medicine Matters(医学の重要性)』、『Integrative Therapies for Cancer(癌の統合療法)』に貢献。また、ハーパーコリンズの『Facing East: Ancient Secrets for Beauty+Health for Modern Age(現代の美と健康のための古代養生法)』とオックスフォード大学出版局の『Clinical Acupuncture and Ancient Chinese Medicine(臨床鍼灸と古代中国医学)』の共著者。
王佳宜